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コンテンツの効果測定 ― その記事は、売上に効いたのか

記事を公開すると、まずPV(閲覧数)を見たくなります。しかしPVが多い記事が、売上に効いている記事とはかぎりません。読者の目的が、自社の商材と関係ないこともあるためです。

この記事では、記事が成果につながったかどうかを見る方法を、手間の少ない順に整理します。直接の道すじの見方、間接的な貢献の扱い、効果が出るまでの時間差、よくある質問の順に進めます。

PVと成果のずれは、同じ会社の記事を並べてみると、はっきり見えてきます。以下の数字は、すべて次のブログのものです。

この記事で使う事例(仮の数字)

  • 記事が35本ある会社のブログ(架空の会社)。用語解説20本・手順の説明10本・事例と比較5本
  • 記事A(用語解説)は月3,000PVで、サービスページへの移動は15人。記事B(事例)は月400PVで、移動は20人
  • 直近の半年は毎月4本ずつ公開し、記事を入口にした問い合わせは半年で13件
  • 同じ半年で、指名検索の表示回数は月300回から420回に増えた

PVだけでは足りない理由

PVは「読まれたか」を示す数字で、「成果につながったか」は示しません。PVが多い記事には、次のような場合があります。

  • 用語の意味を調べたい人が多く、商品を探している人ではない
  • 学生や同業者が読んでいる
  • 一時的な話題で読まれ、翌月には落ち着く

どれも悪いことではありません。問題は、PVの多さだけで「効いている記事」と判断し、似た記事を増やしてしまうことです。増やした結果、問い合わせが変わらないという事態が起きます。

事例の記事AとBを比べてみます。Aは月3,000PVで、そこからサービスページに移った人が15人。Bは月400PVで、サービスページに移った人が20人。PVだけならAが7倍以上ですが、関心を持った人の数ではBが上回っています。Bのような記事を増やすほうが、問い合わせには近いと考えられます。

見る順番は、読まれたか(PV)→ 関心を持ったか(サービスページへの移動)→ 行動したか(問い合わせ)の3段階です。この3段階で見ると、どこで止まっているかが分かり、直すべき場所も決まります。

よくある誤りは、PVの順位表を毎月作り、上位の記事を「成功」、下位の記事を「失敗」と呼ぶことです。順位表は、記事の役割の違いを無視して並べるため、成果に近い記事ほど下位に沈みがちです。順位表を作るなら、PVの列の隣に、サービスページへの移動と問い合わせの列を並べ、並べ替えの基準を後者にしてください。

3段階のどこで止まっているかで、直す場所も変わります。読まれていなければ題名と検索語の選び方、関心につながっていなければ記事の終わりの案内、行動につながっていなければサービスページやフォームの側を見直します。

記事から成果への直接の道すじを見る

直接の道すじとは、記事を読んだ人が、同じ訪問の中でサービスページに移り、問い合わせるまでの流れです。すべての成果がこの流れをたどるわけではありませんが、一番確かめやすい部分です。次の3つの見方で進めます。

記事からサービスページへ何人動いたか

記事の中にサービスページへのリンクを置き、そこへ移った人数を見ます。GA4なら、探索の「経路データ探索」で、記事の次にどのページが見られたかをたどれます(2026年9月時点、経路データ探索の読み方)。リンクのクリックそのものを数えたい場合は、GTMでクリックをイベントとして送る設定をします。

PVは多いのにサービスページへの移動がほとんどない記事は、読者の目的と自社の商材のずれか、記事の中で次の行動が示されていない可能性があります。前者なら記事の役割を「認知」と割り切り、後者なら記事の終わりに関連するサービスの案内を置いてみてください(CTAをどこに置くか)。事例の記事Aは、PVの割に移動が少ない、前者に近い記事です。

その後、問い合わせに至ったか

次に、記事を入口にした訪問のうち、何件が問い合わせに至ったかを見ます。GA4の「ランディングページ」のレポートで、入口のページごとにキーイベントの数を確かめられます。問い合わせの完了がキーイベントとして設定されていることが前提。

記事ごとの件数は少なくなるため、月単位ではなく数か月分のまとめで見るほうが安定します。事例の記事Bを入口にした問い合わせは半年で3件で、月ごとには0件の月も1件の月もありました。月ごとの上下は気にせず、半年で3件という数字を他の記事と比べます(件数が少ないときに、率だけで判断しない)。

記事の種類ごとにまとめる

1記事ごとの件数が少ない場合は、記事を種類でまとめます。「用語解説」「手順の説明」「事例」「比較」などに分け、種類ごとに成果への貢献を比べます。事例のブログの半年分をまとめると、次のようになります。

種類(事例・仮の数字・半年) 記事数 PV合計 記事を入口にした問い合わせ
用語解説20本30,0002件
手順の説明10本8,0005件
事例・比較5本4,0006件

PVは用語解説が圧倒的でも、問い合わせの入口になっているのは事例・比較です。件数は少ないので断定はできませんが、次に書く記事の種類を決める材料になります。記事の分け方はコンテンツグループの設計で扱っています。

記事の種類を付けるときは、1記事に1つだけ付けます。複数付けると、同じ問い合わせが2つの種類に数えられ、合計が実際より多くなります。迷う記事は「読者が最初に知りたいことは何か」で決め、付けた種類は記事の一覧の1列に書いておきます。途中で種類の分け方を変えたときは、過去の記事も付け直してから比べてください。

間接的な貢献をどう見るか

記事を読んだその日に問い合わせる人は多くありません。何日か後に、社名で検索して問い合わせることもあります。この場合、最後の接点は「直接アクセス」や「指名検索」になり、記事の貢献は見えなくなります。

完全に測ることはできませんが、次の見方で傾向はつかめます。どれも単独では弱い手がかりなので、2つ以上を並べて読むのが前提です。

見方 分かること
指名検索の数の推移 記事を増やした時期に、社名で探される回数が増えたか(Search Console)
問い合わせフォームの自由記述 記事を読んだと書かれているか
記事を公開していない期間との比較 更新を止めた時期に、流入や問い合わせが落ちたか

一番手軽で確かなのは、商談の場での聞き取り。「弊社を知ったきっかけは何でしたか」「事前に読んだ記事はありますか」と営業に聞いてもらい、答えを問い合わせの一覧に1列足して記録します。半年分たまると、どの記事が商談の前に読まれているかが、数字の分析より具体的に見えてきます(リードの獲得元を記録する ― 後から聞けないこと)。

指名検索の推移は、Search Consoleで社名や商品名を含む検索語だけに絞ると見られます。事例では、記事を毎月4本ずつ公開した半年で、指名検索の表示回数が月300回から420回に増えました。同じ期間に広告や展示会が無かったなら、記事による認知の広がりが一因だと推し量る材料になります。ただし、前年の同じ時期も同じくらい増えていたなら、季節の影響かもしれないので、前年との比較も並べてください(指名検索と一般検索を分けて見る)。

いずれも決定的な証拠にはなりません。指名検索が増えた時期に展示会や広告もあったなら、記事の貢献とは言い切れません。報告には「推測」と明記し、「分からない部分がある」と書いたうえで出すほうが、無理に断定するより後の判断に役立ちます。

効果が出るまでの時間差

検索から読まれる記事は、公開してすぐには読まれません。検索結果に表示される順位が上がるまで、数週間から数か月かかることがあります。さらにBtoBでは、読まれてから問い合わせまでにも時間がかかります。

そのため、公開から1か月の数字で「効かなかった」と判断すると早すぎます。公開日を記録し、3か月後・6か月後に見直す予定を立てておいてください。見直しのときに見る数字は、Search Consoleの表示回数と平均順位、GA4のPVとサービスページへの移動、記事を入口にした問い合わせの順。

順位が上がらない理由は、記事の内容以外にもあります。検索する人の目的と記事の内容が合っていない、すでに詳しいページが多数ある、といった場合です。書き直す前に、検索結果に並んでいるページを見て、求められている内容を確かめてください(検索意図の読み方 ― 同じ語でも書く内容が変わる)。

事例のブログで、半年前に公開した手順の説明の記事(記事C)の動きを追ってみます。

記事Cの公開から(事例・仮の数字) 月の表示回数 平均順位 サービスページへの移動
1か月30035位1人
3か月2,00014位6人
6か月5,0008位18人

1か月の時点で判断していれば、この記事は「読まれない記事」として書き直されていたかもしれません。3か月で順位が上がり始め、6か月でサービスページへの移動が月18人になっています。見直しの日を先に決めておくのは、この時間差で判断を誤らないためです。

6か月たっても表示回数がほとんど増えない記事は、書き直すか、似た記事とまとめるかを判断します。表示はあるのにクリックされないなら題名と説明文を、読まれているのにサービスページへ移らないなら記事の終わりの案内を直す、というように、3段階のどこで止まっているかで直す場所を決めます(リライトの優先順位を数字で決める)。

見直しの日に書き直すと決めた記事は、書き直した日も記録します。書き直した後の3か月と、書き直す前の3か月を、同じ季節で比べられるよう、前年の同じ時期の数字も並べておくと判断がぶれません。記事の一覧に、公開日と「3か月後・6か月後の見直し日」の列を作っておくと、見直しの漏れも防げます。

よくある質問

PVが多いが問い合わせにつながらない記事は、消したほうがよいですか

すぐに消す必要はありません。認知を広げる役割を果たしている可能性があり、指名検索や後日の問い合わせに間接的に効いていることもあります。まずは記事の終わりに関連するサービスへの案内を置き、3か月様子を見ます。それでもサービスページへの移動がほとんど無く、自社の商材と関係の薄い読者ばかりなら、更新の優先度を下げて、その分の時間を成果に近い記事に回してください。

記事の本数が少なく、種類でまとめても件数が足りません

その場合に見るのは、記事単位の数字より、記事全体をひとまとめにした数字。「記事を入口にした問い合わせの合計」を半年単位で追い、記事を増やした期間と増やさなかった期間で比べます。あわせて、商談での聞き取りを判断の中心に置いてください。

生成AIで書いた記事も、同じ測り方でよいですか

測り方は同じで構いません。ただし、比べるときは、人が書いた記事と公開時期・テーマ・検索語の難しさをそろえてください。AIで書いた記事を新しいテーマに集中させていれば、成果の差はAIではなくテーマの差かもしれません。記事一覧に「書き方(人・AI・併用)」の列を足し、種類と同じように半年単位でまとめて比べます(AIで作った記事の成果を追いかける)。

まとめ

コンテンツの効果は、PVではなく「読まれた→関心を持った→行動した」の3段階で見ます。件数が少ないときは記事の種類でまとめ、時間差を見込んで3か月後に見直します。記事の効果測定は、PVの順位表を作ることではなく、成果への道すじのどこで止まっているかを見つけることです。記事の一覧に3段階の列と見直し日を足し、次の見直し日から使い始めてください。

確認リスト

  • 記事からサービスページへの移動が計測されている
  • 問い合わせがキーイベントとして記録されている
  • 記事ごとの件数が少ないときは、種類でまとめて見ている
  • 公開日を記録し、3か月後に見直す予定がある
  • 間接的な貢献は「推測」と分かるように書いている

計測そのものがまだの場合は、データ活用は「分析」より先に「計測」からを先にお読みください。

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施策の効果測定と実験設計が専門。 世に出ている成功事例の多くは、比較対象が置かれていないか、社会的背景と施策が分離されていないにもかかわらず、なぜか過去の多数の失敗事...

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