自社のアクセスを数えない ― 内部トラフィックの除外
サイトを更新すると、担当者は何度も自分のサイトを開きます。その分もGA4は記録します。月に数百人しか訪れないサイトでは、社内の閲覧が数字の1割を超えることも珍しくありません。
この記事では、除外の設定と、設定できたかの確かめ方、それでも漏れる分の扱いを説明します。画面の名称と場所は2026年9月時点のもので、GA4の画面は変更されることがあります。
この記事でわかること
社内の閲覧がどのくらい数字に混ざるかは、自社の規模に置き換えて計算すると見当がつきます。ここでは、次の会社の数字を各節で使います。
この記事で使う事例(仮の数字)
- 社員10人の会社のサイト(架空の会社)。月の訪問は約800
- サイトの更新担当は2人で、営業日20日に1日3回ずつ自社サイトを開く
- 社員のうち3人は在宅勤務で、それぞれ週に5回ほど自社サイトを開く
なぜ除外が必要か
社内の閲覧が混ざると、数字が実際の訪問者の動きを映さなくなります。とくに、ページを更新した日や、問い合わせフォームを直した日には、社内の閲覧がまとまって増えます。具体的には、次のようなことが起きます。
- 更新した日だけ閲覧数が伸び、施策の効果と区別できない
- 滞在時間が長くなり、読まれていると誤解する
- 問い合わせページの閲覧だけ増え、問い合わせ率が下がって見える
事例の数字で影響の大きさを見てみます。更新担当の2人が営業日20日に1日3回ずつサイトを開くと、120訪問になります。月の訪問約800のうち、15%が社内の閲覧という計算。さらに、フォームの動作確認で問い合わせページを月に30回開けば、問い合わせページの閲覧数は実際より大きく見え、問い合わせ率は実際より低く出ます。
訪問者が少ないサイトほど、影響は大きくなります。月に10万訪問のサイトなら社内の120訪問は誤差ですが、800訪問のサイトでは判断を変えるほどの量です。逆に言えば、規模が小さいうちにこそ設定しておく価値があります。
数字をゆがめるのは、訪問数だけではありません。社内の人は、会社概要や採用ページ、料金ページなど、外部の訪問者とは違うページをよく開きます。そのため、ページごとの閲覧数の順位まで変わり、「料金ページがよく見られている」と誤解することもあります。自社のサイトの月の訪問数と、社内で開く回数のおおよそを並べ、どのくらい混ざっているかを一度見積もっておいてください。
除外の設定
除外の設定は、「調べる」「登録する」「有効にする」の3段階。作業そのものは10〜15分で終わります。ただし、3段階目を忘れると何も除外されないので、最後まで続けて行ってください。
1. 会社のIPアドレスを調べる
IPアドレスは、オフィスのネットワークからインターネットに出るときの住所にあたるものです。社内のパソコンで、検索サイトに「IPアドレス 確認」と入れて調べると、今使っているIPアドレスを表示するページが見つかります。確認するページによっては、IPv4(数字4組)とIPv6(英数字の長い形)の両方が表示されます。
回線がIPv6で通信している場合、IPv4だけを登録しても除外されないことがあります。表示された形式はすべて控えておき、両方の登録が確実です。拠点が複数ある、回線が2本あるといった場合は、それぞれの場所で確かめてください。社内のネットワークを管理している人や、回線の契約書類で確かめる方法もあります。
2. GA4に内部トラフィックとして登録する
GA4の「管理」から「データストリーム」を開き、ウェブのストリームを選んで、タグの設定の中にある「内部トラフィックの定義」を追加します。ルールの名前(例:本社)を付け、調べたIPアドレスを登録します。登録すると、そのIPアドレスからの訪問に「内部」の目印が付くようになります。ルール名は、後から見て場所が分かる名前にしておくと、拠点が増えたときにも管理しやすくなります。
3. 除外する設定を有効にする
登録しただけでは除外されません。「管理」→「データの収集と修正」→「データフィルタ」で、内部トラフィックのフィルタを「有効」に切り替える必要があります。フィルタは最初「テスト」の状態になっていて、そのままだと目印が付くだけで、数字からは除かれません。調べる・登録する・有効にするの3段階は、途中で止めずに1回で終わらせてください。
設定できたかを確かめる
設定は、画面の上で正しく見えても、実際に除外されているとは限りません。IPアドレスの形式の違いや、フィルタの状態の見落としがよくあるからです。確かめ方は次のとおりです。
- 社内から開く:社内のパソコンで、自社サイトのページをいくつか開きます。
- リアルタイムで確かめる:GA4のリアルタイムのレポートを見て、自分の訪問が出てこなければ除外できています。
- 社外の回線でも開く:スマートフォンのモバイル回線で開き、こちらはリアルタイムに出ることを確かめます。除外が効きすぎていないかの確認です。
もう1つの方法は、フィルタを「有効」にする前に、しばらく「テスト」のまま置いておくこと。テストの状態では、除外される予定の訪問に目印が付くので、レポートでその分の件数を確かめてから有効にできます。事例のサイトなら、1週間の約200訪問のうち30訪問ほどに目印が付き、見積もりどおりの15%だと確かめられます。
除外は、有効にした時点から先の数字にしか効きません。有効にした日を記録しておき、その前後で数字を比べるときは「除外を始めた日」を必ず書き添えてください。事例のように除外の開始で訪問数が約800から約680に減っても、それはサイトの不調ではありません。
除外しきれない分の扱い
IPアドレスによる除外には限界があります。登録できるのは、住所が決まっている回線だけだからです。漏れやすいのは次の3つです。
- 在宅勤務:自宅のIPアドレスは人ごとに違い、変わることもあります
- スマホの回線:モバイル回線のIPアドレスは頻繁に変わります
- 出先のWi-Fi:登録しようがありません
現実的な対処は、次の2つを組み合わせることです。1つ目は、主要な拠点のIPアドレスだけ登録して、もっとも件数の多い分を減らすこと。2つ目は、社内で見るときのルールを決めることで、たとえば更新内容の確認はWordPressなどのプレビュー機能を使う、公開後の表示確認は担当者1人が1回だけ行う、といった決まりです。GTMを使って、社員のブラウザに目印を付けて内部として送る方法もありますが、設定と管理の手間が増えるため、まずは上の2つで十分です。
完全には防げないため、数字を読むときに「社内の分が少し混ざっている」と意識しておくことも対処のひとつです。特に、公開直後の数日や、フォームを直した週は社内の閲覧が増えます。その期間の数字で、記事やフォームの良し悪しを判断しないでください。
漏れている量のおおよそは、見積もっておくと安心です。事例では、在宅勤務の3人が週に5回ずつ自社サイトを開くので、月に約60訪問が除外されずに残ります。除外後の月の訪問約680のうち9%ほどで、無視はできない量です。この場合は、在宅勤務の3人にもプレビューでの確認を徹底してもらうだけで、残る分を大きく減らせます。
よくある質問
制作会社や取引先のアクセスも除外すべきですか
サイトの制作や更新を外部に頼んでいて、その会社が頻繁に確認のために開くなら、除外する価値があります。制作会社にIPアドレスを教えてもらい、別のルール名で登録します。取引が終わったら、そのルールの削除を忘れないようにしてください。ルールが残っていても害は小さいですが、どの住所を何のために除外しているかが分からなくなると、後の点検で困ります。
除外を始めたら訪問数が減りました。問題ありませんか
減った分が社内の閲覧だったなら、問題はありません。むしろ、実際の訪問者の数に近づいた証拠。報告では、除外を始めた月の前後で数字を単純に比べず、「除外開始により、前月比は参考値」と書き添えてください。前年と比べる場合も、前年の数字には社内の閲覧が含まれていることに注意します。
GTMのプレビューやテストの訪問も除外できますか
GA4のデータフィルタには、内部トラフィックのほかに「開発者トラフィック」のフィルタがあります。GTMのプレビューやデバッグの状態で送られた訪問を、レポートから除くためのものです(2026年9月時点)。設定や確認の作業が多い時期は、こちらも有効にしておくと、テストの訪問が数字に混ざりにくくなります。ただし、有効にするとDebugView以外では確認の訪問が見えなくなるので、確認の手順と合わせて使ってください。除外のルールごとに「誰の分か」と「いつからか」を1行ずつ書き残しておけば、数字の変化も正しく説明できます。
まとめ
内部トラフィックの除外は、設定そのものは数分で終わります。登録しただけで満足せず、有効にしたか、実際に除外されているかを確認してください。漏れる分があることも前提に、数字を読みましょう。今日のうちに設定と確認を終え、除外を始めた日をメモに残してください。
確認リスト
- 会社のIPアドレスを登録した
- データフィルタを「有効」にした
- 社内から開いて、リアルタイムに出ないことを確認した
- 在宅・スマホの分は除外できないと理解している
ほかの初期設定はGA4を入れたら最初にやる設定 ― 5つのチェックにまとめています。
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