フォームのどこで離脱しているかを知る
問い合わせフォームを開いた人のうち、実際に送信する人は一部です。ところが多くのサイトでは、「フォームを開いた数」と「送信された数」しか分かりません。その間のどこで止まっているかが見えないと、直す場所を勘で決めることになります。この記事では、3点を計測して離脱の場所を特定し、直す順番を決める方法を説明します。
この記事でわかること
離脱の場所の見つけ方と直し方は、1つのフォームの数字を追うと順を追って理解できます。読み方の例も、直した前後の比べ方の例も、次のフォームの数字です。
この記事で使う事例(仮の数字)
- BtoBのサイトの問い合わせフォーム(架空のサイト)。送信後は「送信ありがとうございました」の別ページに移る
- ある4週間の、フォームページの表示400・入力開始120・送信完了30
- 同じ4週間に送信ボタンは50回押され、そのうち20回でエラーが出た
- エラー表示を直した後の4週間は、入力開始110・送信完了38
計測する3つの地点
離脱の場所を知るには、フォームまでの道のりを3つの地点に区切って数えます。地点を置くのは、訪問者の気持ちが切り替わる場所です。「見た」「書き始めた」「送った」の3つがそろえば、どの段階で人が減っているかが分かります。
| 地点 | 意味 |
|---|---|
| 1. ページ表示 | フォームのあるページを開いた |
| 2. 入力開始 | 最初の項目に文字を入れた(書こうとした) |
| 3. 送信完了 | 送信が受け付けられた |
余裕があれば、入力エラーの発生も計測します。「送信を押したのにエラーで戻された」人の数が分かり、入力途中の離脱の原因を絞り込めます。いずれもGoogleタグマネージャーで設定できますが、サイトの作りによって手順が変わります。設定後は自分で1回ずつ操作し、それぞれ1件ずつ記録されるかを確認してください。
送信完了の数え方は、フォームの作りで決まります。送信後に「送信ありがとうございました」の別ページへ移るなら、そのページの表示を数えるのが確実です。ページが変わらず同じ画面にメッセージが出るだけの作りなら、画面の変化をきっかけに数える方法が必要です。どちらか分からない場合は、自分で一度送信してアドレス欄が変わるかを見てください。方式ごとの設定はサンクスページでの成果計測と画面が変わらないフォームを計測するで説明しています。
GA4には、フォームの操作を自動で記録する機能もあります(2026年9月時点、拡張計測機能の「フォームの操作」)。手軽に始められる一方で、どのフォームで何が起きたかの区別がつきにくく、送信の記録が実際の送信完了と一致しないことがあります。自動の記録を使う場合も、送信完了だけはサンクスページなど確実な方法で数え、自動の数字と突き合わせてください。
最初に決めるのは、3地点それぞれの名前。設定は次の順で進めると、後から数字を疑わずに済みます。
- 3地点それぞれに付ける名前(イベント名)を決め、1行ずつメモに残す
- Googleタグマネージャーで設定し、プレビュー画面で自分の操作が1回ずつ記録されるかを見る
- 公開した翌日、GA4のレポートに自分の操作分が出ているかを確かめる
- 2週間ほど数字をためてから、次の節の読み方に進む
よくある誤りは、送信ボタンのクリックを「送信完了」として数えてしまうことです。これだとエラーで戻された人も完了に入り、フォームの中の離脱が見えなくなります。もう1つは、入力開始が項目ごとに何度も記録される設定です。入力開始は1回の訪問で1回だけ数え、「書き始めた人の数」として読める形にしてください。「開いた数」と「送った数」の間に「書き始めた数」を挟むのが、離脱の場所を知る最小の仕組みです。
数字の読み方
3地点の数字が出たら、どこで一番大きく減っているかを見ます。減り方が大きい区間に、直すべき原因があるからです。区間によって疑う場所が変わるので、次の2つの型で考えます。
| 減り方(仮の数字) | 疑う場所 |
|---|---|
| 表示100 → 入力開始20 → 送信15 | 書き始める前に帰っている。ページの内容、フォームの見た目、項目数の多さなど、フォームの手前 |
| 表示100 → 入力開始60 → 送信15 | 書き始めたのに送っていない。項目の多さ、必須項目、エラー表示の分かりにくさなど、フォームの中 |
ただし件数が少ないときは注意が必要です。月に数件しか送信がない場合、割合の変化はほとんど偶然で説明できる範囲に収まります。数か月分をまとめて見るか、件数そのものを並べて判断してください。詳しくは件数が少ないときに、率だけで判断しないをご覧ください。
ここからは、事例の数字を使った計算の例。ある4週間のフォームページの表示が400、入力開始が120、送信完了が30でした。表示から入力開始へ進んだのは120÷400で30%、入力開始から送信へ進んだのは30÷120で25%です。人数で見ると、手前の区間で280人、中の区間で90人が減っています。
この場合、率だけを見ると「中の区間の25%のほうが低い」と感じます。しかし減った人数は手前の区間のほうが3倍ほど多く、改善したときに増える送信数の余地も大きくなります。判断するときは、率と人数の両方を並べてください。どちらの区間も同じくらいなら、直すのが簡単な側から手を付けて構いません。
当てはまらない場合もあります。フォームが会社案内やサービス説明と同じページの下部にあるなら、ページ表示には「説明を読みに来ただけの人」が多く含まれます。このとき表示から入力開始への減りが大きいのは当然で、フォームの問題とは限らない場面です。こうしたページでは、フォームの位置まで画面を下げた人を起点に数えるか、比べる相手を自社の過去の数字に限ってください。
もう1つ、スマホとパソコンは分けて同じ計算をします。全体では差がなくても、スマホだけ入力開始から送信への進み方が大きく落ちていることがあります。その場合、原因はスマホでの入力のしにくさに絞れます。
よくある原因と直し方
原因の多くは、次の4つのどれかにあてはまります。いずれも、作った本人は気づきにくいものです。だからこそ、自分で実際に入力して確かめる手順が欠かせません。
| 原因 | 確かめ方と直し方 |
|---|---|
| 項目が多い | 営業で実際に使っていない項目を外す。「あると便利」な項目は、送信されなければ意味がない。後から聞けることは後で聞く |
| エラー表示が分かりにくい | わざとエラーを出し、どの項目が悪いか分かるか、入力内容が消えないかを見る |
| スマホで使いにくい | 実機で最後まで送信する。電話番号で数字キーが出るか、送信ボタンが見つかるかを確認する |
| 迷いを消す情報がない | 「営業電話は来るか」「返信はいつか」「何を書けばよいか」をフォームの近くに一言添える |
項目を減らすときは、「最初の連絡の前に使うか」を基準にします。会社名・名前・連絡先・問い合わせ内容は最初の連絡に要りますが、従業員数や予算、導入時期は、話を聞いた後でも分かります。使っていない項目を残すと、書く手間だけが増え、送信されない理由になります。判断に迷う項目の扱いはBtoBフォームの項目を減らす ― どこまで削るかで詳しく説明しています。
迷いを消す情報は、長い説明ではなく一言で足ります。例えば送信ボタンのすぐ上に「2営業日以内にメールで返信します」「この問い合わせをきっかけに営業電話をかけることはありません」と書くだけで、送る前の不安の一部は消えます。ただし、書いた内容は必ず守れるものにしてください。守れない約束を書くと、問い合わせの後に信頼を失います。
直す順番は、前の節で特定した区間に合わせます。フォームの手前で減っているなら「迷いを消す情報」や項目数の見た目から、フォームの中で減っているならエラー表示とスマホ対応から手を付けます。直したら、同じ長さの期間で3地点の数字を比べ、減り方が変わったかを確かめます。
次は、直した前後の比べ方の例。事例のフォームでエラー表示を直す前の4週間は、入力開始120・送信30で、進んだ割合は25%でした。直した後の4週間は入力開始110・送信38で、38÷110で約35%です。割合は10ポイントほど上がっていますが、送信は30件台の件数なので、偶然の範囲を含む点に注意してください。
この比較を読むときは、次の3点を確かめます。
- 同じ期間に、広告の出稿量や季節など、フォーム以外の条件が変わっていないか
- 一度に直したのは1か所だけか(複数を同時に直すと、どれが効いたか分からない)
- 入力開始の数そのものが大きく変わっていないか(来る人が変われば、進み方も変わる)
エラーを計測している場合は、「送信ボタンを押した回数」に対する「エラーが出た回数」も並べると原因がはっきりします。事例では直す前の4週間に送信ボタンが50回押され、そのうち20回でエラーが出ていました。4割の操作が一度は戻されていた計算で、残りの30回が送信完了の30件にあたります。エラーが出る項目が特定の1つ(例えば電話番号のハイフン)に偏っていれば、直す対象はそこです。直した後にこの割合が下がったかを見れば、効き目を送信数より早く確かめられます。
よくある質問
Q. フォームが外部のサービスで作られていて、ページに埋め込まれています。計測できますか。
埋め込まれたフォームの中の操作は、自社のタグから見えないことが多く、入力開始は数えにくくなります。この場合は、フォームのあるページの表示と、送信後に移るページの表示の2点で数えるのが現実的です。あわせて、フォームのサービス側の管理画面にある送信件数と、自社で数えた送信件数が合っているかを月1回確かめてください。送信後のページが別のドメインにあるなら、クロスドメイン計測の設定も必要です。
Q. 入力開始を計測すると、入力した内容まで送られてしまいませんか。
記録するのは「入力が始まった」という事実だけで、名前や電話番号などの中身は送りません。設定のときに、項目の値をイベントに含めていないかを確認してください。GA4には個人を特定できる情報を送ってはいけない決まりがあるため、ここは設定した人以外の目でも見ておくと安心です。
Q. どのくらいの期間、数字をためれば判断できますか。
目安は、送信完了が数十件たまるまで。月に数件しか送信がないサイトでは、3か月分をまとめて見てください。それでも少ないときは、率ではなく「何人が入力を始めて、何人が送ったか」の人数をそのまま並べ、実際の問い合わせ内容と合わせて判断します。
まとめ
フォームの改善は、勘で直すより、どこで止まっているかを見てからのほうが早く進みます。ページ表示・入力開始・送信完了の3点を計測し、減り方の大きい区間を特定します。そのうえで、区間に合った原因から直し、前後を同じ条件で比べます。計測で場所を決めてから直す、という順番を守ってください。
確認リスト
- 3地点が計測されている
- 自分で1回ずつ操作して記録を確認した
- 減り方の大きい区間を特定した
- スマホの実機で最後まで送信してみた
- 率と人数の両方で区間を比べた
- 件数が少ないときは率だけで判断していない
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