Googleタグマネージャーの始め方 ― 最初に入れるのは1つだけ
Googleタグマネージャー(GTM)は、サイトに埋め込む計測用のタグをまとめて管理する道具です。無料で使えますが、「入れたほうがいいのか」「何から設定するのか」が分かりにくい道具でもあります。
この記事では、導入すべきかの判断と、最初の設定までを順に説明し、つまずきやすい点とその直し方をまとめます。画面の名称と場所は2026年9月時点のものです。
そもそも必要か
GA4だけを使うなら、GTMを使わずにサイトへ直接設置する方法もあります。GTMは便利ですが、使う人が1つ道具を覚える手間も増えます。判断の目安は次のとおりです。
| あてはまる状況 | おすすめ |
|---|---|
| 計測はGA4だけ。今後も増やす予定がない | 直接設置でよい |
| 広告のタグも入れる予定がある | GTMを使う |
| サイトの編集を外部に依頼している | GTMを使う(依頼の回数が減る) |
| クリックやスクロールも計測したい | GTMを使う |
タグを増やす予定があるなら、最初からGTMを入れておくほうが後が楽です。後から移すこともできますが、二重計測を避けるための切り替え作業が発生します。仮に、サイトの編集を制作会社に頼んでいて、1回の依頼に1週間かかるとします。広告のタグ、成果の計測、電話タップの計測と、年に3回タグを足すなら、GTMがあればその3週間の待ちが要らなくなります。
当てはまらない場合もあります。社内にGTMを触れる人がおらず、今後もタグを増やす予定が無いなら、無理に入れる必要はありません。道具が増えると、「どこに何が入っているか」を知る人がいなくなったときに、かえって管理が難しくなるからです。
判断に迷うときは、次の問いに答えてみてください。「半年後に、今は入っていないタグを1つ足したくなったとき、誰に何を頼み、何日かかるか」。答えが「制作会社に頼んで1〜2週間」なら、GTMを入れておく価値があります。「自分でHTMLを直して10分」なら、直接設置のままでも困ることはありません。今後1年で足したいタグを書き出し、2つ以上あればGTMを選ぶ、というのも分かりやすい目安です。
導入の手順
導入は、「作る」「貼る」「確かめる」の3段階です。サイトにコードを貼る作業だけは、サイトの編集権限が要ります。制作会社に頼む場合は、2つのコードをまとめて渡し、全ページに入れてもらうよう依頼します。
1. アカウントとコンテナを作る
GTMのアカウントを作り、サイト用の「コンテナ」を1つ作ります。1サイトにつき1コンテナが基本。アカウント名は会社名、コンテナ名はサイトのドメインにしておくと、後から見て迷いません。作ったアカウントには、担当者のほかに、もう1人の管理者を加えておくと、担当者が替わったときにも引き継げます。
2. サイトにコードを貼る
作成時に表示される2つのコードを、サイトの全ページに入れます。1つはページの head の中のできるだけ上に、もう1つは body の開始の直後に入れる、と画面に案内が出ます。WordPressの場合、テーマの設定に貼る欄があることが多く、無ければプラグインでも入れられます。テーマを変えると貼った場所ごと消えることがあるため、どこに貼ったかを記録しておきます。
3. 貼れたか確認する
GTMの「プレビュー」機能でサイトを開き、つながっていることを確認します。プレビューの画面にサイトのページが表示され、「接続されました」といった表示が出れば成功です。ここで確認せずに進めると、後の作業がすべて無駄になります。
貼るときによくある誤りは、一部のページにしかコードが入っていないことです。WordPressでも、トップページ、記事、固定ページ、問い合わせフォームなどでテンプレートが違い、一部のテンプレートだけに貼られていることがあります。プレビューで確認するときは、トップだけでなく、問い合わせフォームと完了ページも必ず開いてください。完了ページにコードが無いと、後で成果の計測ができません。ここまでの3段階は、1日で終えられる分量です。
最初に入れるタグ
最初に入れるのは、GA4の基本タグ1つだけで十分です。GTMでは「Googleタグ」の種類を選び、GA4の測定ID(「G-」で始まる文字列)を入れ、すべてのページで動くように設定します。これで全ページの閲覧が計測されます。
成果(問い合わせ完了など)の計測は、この後に足します。順番を守ってください。基本の計測が動いていない状態で成果の設定をすると、どちらに問題があるのか切り分けられなくなります。基本のタグを公開したら、GA4のリアルタイムのレポートで自分の訪問が見えることを確かめ、それから成果の計測に進みます(GA4の「キーイベント」設定 ― 問い合わせ完了を成果として数える)。
GTMは、設定しただけでは反映されません。「公開」の操作をして初めて動きます。「設定したのに数字が入らない」の原因で、もっとも多いのがこれです。公開するときは、バージョン名に「GA4基本タグを追加」のように内容を書いておくと、後から何を変えたかを追えます。
基本タグの次に足すものの順番も決めておきます。1つ目は問い合わせなどの成果の計測、2つ目は広告のタグ、3つ目は電話番号のタップやファイルのダウンロードなどの補助の計測です。1つ足すたびにプレビューで確かめて公開し、公開したバージョンに内容を書く。この手順を守れば、タグが増えても、どれがいつ入ったかを後から追えます。
気をつけること
GTMは、1か所で全ページのタグを動かせる分、誤りの影響も全ページに及びます。導入のあとに起きやすいのは、次の3つ。どれも、決まりを1つ作っておけば防げます。
- 二重計測:GTM経由と直接設置の両方でGA4を入れると、数字が2倍になります。切り替えたら古いほうを必ず外します
- 変更の記録:GTMには変更履歴が残ります。公開時に「何を変えたか」をひとことメモしておくと、後で数字が動いた理由を追えます
- 権限:公開できる権限は限られた人だけにします。誤って公開すると、全ページの計測に影響します
二重計測は、数字で気づけることがあります。仮に、切り替えた翌日から訪問数がほぼ2倍、ページの閲覧数もほぼ2倍になり、問い合わせの件数だけが変わらないなら、二重計測を疑います。直接設置のGA4のコードがテーマやプラグインに残っていないか、ページのソースで「gtag」を検索して確かめてください。公開の権限は2人までに絞り、公開のたびにメモを残す決まりにしておけば、残りの2つも防げます。
よくある質問
すでにGA4を直接設置しています。GTMに移すにはどうすればよいですか
GTM側にGA4の基本タグを用意し、プレビューで動くことを確かめたうえで、公開と同時に直接設置のコードを外します。公開と取り外しの間が空くと、その間だけ二重計測になります。作業日を決め、同じ日のうちに両方を済ませてください。切り替えた日付は記録し、その前後で数字を比べるときの注意書きにします。
GTMを入れると、サイトの表示が遅くなりませんか
GTMそのものの読み込みは、通常それほど重くありません。遅くなる原因になるのは、GTMの中に入れたタグの数と中身。使わなくなったタグを残さないこと、年に1回は中身を見直すことで、遅さは防げます。
GTMの管理を制作会社に任せてもよいですか
任せても構いませんが、コンテナの所有者は自社にしておいてください。制作会社のアカウントでコンテナを作ると、取引が終わったときに設定を引き継げなくなることがあります。自社のアカウントでコンテナを作り、制作会社には必要な権限だけを付けます。公開したバージョンの一覧を月に1回見て、何が変わったかを確かめるだけでも、任せきりにはなりません。
まとめ
GTMは、タグを増やす予定があるなら早めに入れておく道具です。最初はGA4の基本タグ1つだけ。確認と公開を忘れなければ、難しい設定はありません。始め方は「入れて、公開して、確かめる」の繰り返しです。まず基本タグ1つを公開して確かめ、次の計測はそれから足してください。
確認リスト
- コンテナのコードが全ページに入っている
- プレビューでつながっていることを確認した
- GA4の基本タグを1つだけ入れた
- 「公開」の操作をした
- 直接設置のGA4タグが残っていない
何を計測すべきかは、データ活用は「分析」より先に「計測」からで整理しています。
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