GA4の「キーイベント」設定 ― 問い合わせ完了を成果として数える
GA4を入れたのに、問い合わせが何件あったのかがレポートに出てこない。多くの場合、原因は「キーイベント」の設定漏れです。
キーイベントは、GA4で「これがこのサイトの成果です」と指定したイベントのことです。2024年に「コンバージョン」から名称が変わりました。この記事では、問い合わせ完了をキーイベントとして数えるまでの流れと、設定後の確かめ方、誤りやすい点を紹介します。
数え方の小さな違いがどれだけ件数を動かすかは、1つのサイトの数字で追うと実感できます。以下では、次のサイトを例に説明します。
この記事で使う事例(仮の数字)
- 問い合わせフォームとサンクスページ(/contact/thanks/)があるBtoBのサイト(架空のサイト)
- 問い合わせは月10件ほど
- ある月、サンクスページは12回表示された。うち2回は同じ人の再読み込み
- 同じ月に営業が受けた問い合わせは10件
先に決めること:何を成果として数えるか
設定の画面を開く前に、どの行動を成果とするかを決めます。ここがあいまいなまま設定すると、あとで数字の意味が説明できなくなります。判断の基準は、売上への近さと「新しいお客様の行動か」の2つです。
| 行動 | 成果に入れるか(考え方) |
|---|---|
| 問い合わせフォームの送信完了 | 入れる。多くのサイトで中心になる成果 |
| 資料請求・ダウンロードの完了 | 入れる。問い合わせとは分けて数える |
| 電話番号のタップ | 参考として記録。実際に電話したか、何の用件かはわからない |
| フォームの入力開始 | 成果には入れない。途中離脱を見るための記録 |
| 既存のお客様向けの申込・手続き | 新規の成果とは分ける。混ぜると成果が実態より多く見える |
迷いやすいのは、電話番号のタップです。スマートフォンで番号を押しても、実際に通話したとは限らず、用件が採用の問い合わせかもしれません。成果として数える場合も、問い合わせフォームとは別のキーイベントにしておくと、後から分けて見られます(電話とメールの問い合わせを数える ― フォーム以外の成果)。
成果の定義は、社内で1枚にまとめて共有しておきます。書く項目は、成果の名前(例:問い合わせ)、GA4でのイベント名(例:inquiry_complete)、数える条件(サンクスページの表示)、含めないもの(採用の問い合わせ、既存客の手続き)、設定した日の5つです。営業や経営者と同じ定義で数字を見ていないと、事例のように「GA4では12件、営業の記録では10件」といった食い違いの説明に毎回時間がかかります。
当てはまらない場合もあります。通販のように購入が成果なら、購入の完了が中心になり、問い合わせは補助の成果になります。採用が主な目的のサイトなら、応募の完了が成果です。上の表は、問い合わせを主な成果とするBtoBサイトを想定した目安なので、自社の売上に一番近い行動が何かから考え直し、成果とする行動を2〜3個に絞ってください。
設定の流れ(サンクスページを使う方法)
問い合わせを送信すると「送信ありがとうございました」のページ(サンクスページ)に移るサイトなら、そのページの表示を成果として数えるのが、いちばん確実で簡単です。流れは3段階。慣れれば30分ほどで終わります。メニューの名称と場所は2026年9月時点のもので、GA4の画面は変更されることがあります。
1. サンクスページのURLを確かめる
実際にフォームを送信して、送信後のURLを控えます(事例では /contact/thanks/)。フォームの種類ごとにサンクスページが違う場合は、それぞれ控えておきます。ここで大事なのは、そのURLが送信を経ないと表示されないページかどうかです。検索結果やサイト内のリンクから直接開けてしまうと、送信していない人まで成果に数えられるので、サンクスページは検索結果に出さない設定にしておきます。
2. サンクスページの表示を、専用のイベントにする
方法は2つあります。どちらを選んでも数える中身は同じなので、今後の計測の予定で決めてください。ほかの計測も増やす予定があるならGTM、当面はこの1つだけなら管理画面、が目安です。
- GA4の管理画面で作る:「管理」→「イベント」→「イベントを作成」で、page_view のうち page_location にサンクスページのURLを含むものから、新しいイベント(例:inquiry_complete)を作ります。
- Googleタグマネージャー(GTM)で送る:サンクスページの表示をきっかけ(トリガー)にして、GA4のイベントを送るタグを作ります。複数の成果をまとめて管理したい場合に向いています。
3. そのイベントを「キーイベント」に指定する
「管理」→「キーイベント」でイベント名を登録するか、イベントの一覧で該当するイベントをキーイベントとしてマークします。イベント名は、後から見て中身が分かる英小文字の名前にし、社内で命名の決まりをそろえておくと管理が楽になります。
サンクスページがなく、送信後も同じページに結果が表示されるフォームでは、この方法が使えません。その場合はGTMで送信完了の合図を拾う設定が必要です。どちらのフォームか分からないときは、テスト送信をしてURLが変わるかを見れば判断できます。
設定したあとの確かめ方
設定しただけで安心せず、実際に数えられるかを必ず確かめます。GA4の標準のレポートは、反映までに1〜2日かかることがあるため、設定直後はレポートに出なくても慌てる必要はありません。確かめる手順は次のとおりです。
- テスト送信をする:フォームに「テスト」と分かる内容を入れて送信します。社内のメール担当に、テストであることを先に伝えておきます。
- その場で確かめる:GA4のリアルタイムのレポートか、DebugView(GTMのプレビューと組み合わせて使う画面)で、作ったイベントが1回だけ届いているかを見ます。
- 翌日以降に確かめる:1〜2日後に、キーイベントのレポートにテストの1件が記録されているかを確認します。
よくある誤りは、テスト送信を確かめずに「設定済み」として数か月放置し、実は1件も数えられていなかったと後で気づくことです。事例のように月10件の問い合わせがあるサイトで3か月気づかなければ、30件分の成果の記録が失われます。その3か月の広告や記事の効果は、後から検証できません。
テスト送信が記録されないときに確かめる順番も書いておきます。まず、サンクスページのURLが控えたものと同じか(末尾のスラッシュや、パラメータの有無も含めて)。次に、作ったイベントの条件で、URLを「含む」にしたか「等しい」にしたか。最後に、GTMを使っている場合は、変更を「公開」したか。この3つで、記録されない原因の多くは見つかります。
確認は、設定した日だけでは終わりません。フォームの改修やサイトのリニューアルの後は、サンクスページのURLが変わっていないかを確かめ、もう一度テスト送信をします。月に1回、キーイベントの件数が0の週が無いかを見るだけでも、計測の停止に早く気づけます。
数え方を誤らないための注意点
設定そのものが正しくても、数え方の決め方で数字の意味が変わります。次の4点は、設定の段階で決めておきます。キーイベントの数字は、何を入れるか・どう数えるか・何を除くかの3つで意味が決まるからです。
- 「何でもキーイベント」にしない:スクロールや入力開始までキーイベントにすると、成果の数が膨らみ、どれが本当の成果かわからなくなります。
- 既存のお客様の手続きを混ぜない:会員向けの申込フォームなどは、新規の問い合わせとは別のイベントにします。新規を増やす施策の効果を測るときに、数字が実態より大きく見えてしまいます。
- カウント方法を確かめる:キーイベントには「イベントごとに1回」と「セッションごとに1回」の数え方があります。サンクスページの再読み込みで二重に数えられることがあるため、目的に合う方を選びます。
- 社内のアクセスを除く:テスト送信や社内からのアクセスが成果に入らないよう、社内のIPアドレスを除外する設定も検討しましょう(自社のアクセスを数えない ― 内部トラフィックの除外)。
事例の数字で、数え方の違いを示します。ある月、サンクスページが12回表示され、そのうち2回は同じ人の再読み込みでした。「イベントごと」なら12件、「セッションごと」なら10件。問い合わせの件数としては10件が実態に近く、営業が受けた件数とも一致します。
成果をどう定義するかは、後から広告の費用対効果(CPA)を計算するときにも効いてきます。定義が変われば、同じ広告でも良く見えたり悪く見えたりするからです。
GA4の件数と、営業が受けた件数が合わないことは、珍しくありません。GA4は同意の設定や広告ブロックの影響で一部を数えられないことがあり、営業の記録には電話やメールの問い合わせも混ざります。毎月、両方の件数を並べて記録し、差がいつも同じくらいなら、その差を前提に読みます。差が急に広がった月は、計測の不具合を疑ってください。
数え方を途中で変えたときは、変えた日を記録し、その前後の数字を同じ列に並べないようにします。数え方と除外の設定の内容も、1行ずつ同じ記録に残しておくと、後から数字を読む人が迷いません。
よくある質問
Google広告の「コンバージョン」とは違うものですか
GA4では名称が「キーイベント」に変わりましたが、Google広告では引き続き「コンバージョン」という言葉が使われています。GA4のキーイベントを広告の管理画面に取り込んで、広告の成果として使うこともできます。その場合、GA4と広告の管理画面で数え方や期間の考え方が違い、件数が一致しないことがあるので、報告に使う数字の出どころを先に決めておいてください(2026年9月時点)。
キーイベントに指定する前の数字は、さかのぼって数えられますか
キーイベントとしての集計は、指定した後の分からになります。そのため、指定は早いほど得。ただし、元になるイベント(サンクスページの表示など)が記録されていれば、探索のレポートでそのページの表示回数を数えることで、指定前の件数をおおよそ確かめられます。
フォームが外部のサービスで作られている場合は
フォームを外部のサービスで作り、サイトに埋め込んでいる場合は、送信後のサンクスページが自社サイトの外にあることがあります。この場合、自社サイトのGA4ではサンクスページの表示を数えられません。送信後に自社サイトのサンクスページへ戻す設定ができるサービスなら、その設定をしてこの記事の方法を使います。できない場合は、サービス側の送信件数を月ごとに記録し、GA4の数字とは別に並べてください。
まとめ
キーイベントの設定は、「何を成果として数えるか」を決めることが半分以上です。画面の操作そのものは難しくありません。キーイベントは、成果の定義・設定・確認の3つがそろって初めて使える数字になります。チェックリストを上から埋め、最後のテスト送信まで今日中に終えてください。
キーイベント設定のチェックリスト
- 成果にする行動が決まっている(問い合わせ・資料請求など)
- 新規の成果と、既存のお客様の手続きを分けている
- サンクスページのURL、または送信完了の合図を確認した
- テスト送信でレポートに記録されることを確かめた
- カウント方法(イベントごと/セッションごと)を選んだ
計測全体の考え方は「データ活用は「分析」より先に「計測」から」で紹介しています。
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