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電話とメールの問い合わせを数える ― フォーム以外の成果

BtoBや地域の商売では、問い合わせの多くが電話で来ます。ところが、GA4で計測できるのはサイト上の動きだけです。電話をかけた人は、サイトの数字には残りません。この記事では、電話とメールの問い合わせをできる範囲で数える方法と、数えられない部分の扱いを説明します。

サイトの数字と実際の問い合わせがどれだけ離れるかは、1つの会社のひと月分を並べると見えてきます。この記事では、次の架空の会社の同じ月の数字を、各節で使います。

この記事で使う事例(仮の数字)

  • 地域で設備工事を請け負う会社(架空の会社・仮の数字)。問い合わせの多くは電話
  • ある月のスマホの電話タップは40件。電話の受付記録では、問い合わせは15件(うち「Web検索」「ホームページ」と答えた人が6件)
  • 同じ月のフォームの送信は10件、メールでの問い合わせは3件

スマホの電話タップを数える

サイトの電話番号がタップできるようになっていれば(tel: のリンク)、そのタップをイベントとして計測できます。Googleタグマネージャーを使うと、サイトを改修せずに設定できます。設定したら、自分のスマホで番号をタップし、記録されるかを確かめてください。

設定の流れは次のとおりです(Googleタグマネージャーの画面名は2026年9月時点)。

  1. トリガーを新しく作り、種類に「クリック – リンクのみ」を選ぶ
  2. 条件を「一部のリンククリック」にし、「Click URL」が「tel:」で始まる、と指定する(変数の一覧に Click URL が無ければ、組み込み変数で有効にする)
  3. GA4のイベントを送るタグを作り、イベント名を「tel_tap」のように分かりやすく付けて、上のトリガーを割り当てる
  4. プレビューで自分のスマホからタップし、タグが1回だけ動くことを確かめてから公開する

イベント名は、社内で決めた命名の決まりに合わせてください。後から「電話」「tel」「phone」が混ざると、集計のたびに足し合わせることになります。

ただし、計測できるのは「タップした」ところまでです。実際に発信したか、つながったか、話した内容までは分かりません。間違えてタップした人、番号を確かめただけの人、営業時間外にかけてつながらなかった人も含まれます。事例の会社でも、月のタップ40件に対して、電話の受付記録の問い合わせは15件でした。

それでもタップ数を計測する意味はあります。タップ数と受付の件数を毎月並べると、両者の比がおおむね一定かどうかが分かるからです。事例では、タップ40件に対して実際の問い合わせ15件で、比は約38%です。この比が毎月3〜4割で安定していれば、タップ数の増減を問い合わせの増減の早い目安として使えます。ある月だけ比が大きく下がったら、営業時間外のタップが増えた、番号の表示が変わって誤タップが増えた、などの理由を疑います。

メールリンクのクリックを数える

メールアドレスのリンク(mailto:)も、電話と同じ方法で計測できます。こちらも分かるのは「メールソフトを開いた」ところまでで、送信されたかは分かりません。メールソフトが設定されていないパソコンでは、クリックしても何も起きないことさえあります。

設定は電話と同じ手順で、条件を「Click URL」が「mailto:」で始まる、に変えるだけです。イベント名は「mail_click」のように、電話と区別できる名前にします。ここでもう1つ知っておきたい限界が、アドレスのコピー。パソコンで見ている人の多くは、リンクをクリックせずにアドレスを選んでコピーし、自分のメールソフトに貼り付けます。この動きはクリックとして記録されないため、メールリンクのクリック数は、実際にメールをくれた人より少なく出ることもあります。

そもそも、メールアドレスを直接載せると迷惑メールが増えやすくなります。問い合わせフォームに寄せれば、送信完了まで数えられ、必要な項目もそろえて受け取れます。メールアドレスの掲載をやめるのが難しい場合でも、目立つ位置にはフォームを置き、メールは補助にとどめます。

フォームに寄せるときの具体的な置き方の例。メールアドレスを載せていた場所に「お問い合わせフォーム(24時間受付・2営業日以内に返信)」というボタンを置き、アドレスはページの下のほうに小さく残します。「メールで送りたい」という人のためにアドレスを完全に消さないことで、窓口を減らさずに、多くの人をフォームに誘導できます。切り替えた月からは、フォームの送信数とメールの受信数を並べ、合計の問い合わせが減っていないかを確かめてください。

数えられない部分をどうするか

パソコンで番号を見て、手元の電話でかけた場合、サイト側には何も残りません。これは技術的に避けられない限界です。そのため、Web側の数字だけで電話の問い合わせを把握しようとせず、電話を受ける側で記録を取ります。表計算ソフトで次の3項目を残すだけでも、Web側の数字と突き合わせられます。

記録する項目 使いみち
日付 施策の時期と突き合わせる
用件の種類 営業対象かどうかを分ける
どこで知ったか(聞ければ) Web経由かどうかの目安

記録を続けるこつは、聞き方と書き方を決めておくこと。電話を受けた人が「弊社は何でお知りになりましたか」と用件の後に一言聞き、答えを「Web検索」「ホームページ」「紹介」「チラシ」「以前から取引」「不明」のような決まった選択肢から選んで書きます。自由に書くと「ネット」「HP」「グーグル」のように表記が割れ、月末に数えるときに困ります。

記録がそろうと、問い合わせの全体が見えます。事例の会社の同じ月は、フォームの送信が10件、電話が15件(そのうち「Web検索」「ホームページ」と答えた人が6件)、メールが3件でした。Webの数字だけを見ると問い合わせは10件ですが、実際には28件あり、Webが関わったものはフォームの10件と電話の6件を合わせて少なくとも16件です。電話が多い事業では、フォームの件数だけでサイトの役割を判断すると、大きく見誤ります。

「どこで知ったか」は相手の記憶に頼るため正確ではなく、参考程度に扱います。区別を確実にしたいなら、Web用に別の電話番号を用意する方法があります。その番号への着信はWeb経由だと分かり、番号を追加する費用はかかりますが、問い合わせの多くが電話という事業では検討する価値があります。

よくある質問

Q. 電話タップをGA4のキーイベント(成果)にしてよいですか。
してよいですが、フォームの送信とは別の成果として扱ってください。タップには誤タップや営業時間外の発信が含まれるので、フォームの送信と合計して「問い合わせ件数」と呼ぶと、実際より多く見えます。報告では「フォーム送信」「電話タップ(目安)」「電話の受付件数」を別の行に並べ、どれが確定した件数かが分かるようにします。キーイベントの設定はGA4のキーイベント設定で説明しています。

Q. 電話を受ける人が多く、記録が抜けてしまいます。
最初から完璧を目指さず、記録する人と記録する場所を1つに決めることから始めてください。例えば、代表電話を受けた人が共有のスプレッドシートに1行書く、という形です。抜けが気になるなら、月末に電話の通話履歴の件数と記録の行数を比べ、どのくらい抜けているかを把握しておきます。抜けの割合が分かっていれば、記録の件数を補って読むことができます。

Q. Web用に別の電話番号を用意すると、どんな注意がありますか。
番号を載せるページをWebだけに限ることが大切です。名刺やチラシにも同じ番号を載せると、Web経由かどうかの区別がつかなくなります。また、番号を変えたページが検索結果や地図の情報に古い番号のまま残っていないかも確かめてください。

まとめ

電話とメールは、サイト上の「かけようとした動き」までしか計測できません。タップ数やクリック数は目安として扱い、実際の件数は電話の受付記録で数えます。この2本立てが現実的です。Webの数字と受付記録を並べて、初めて問い合わせの全体が見えます。

確認リスト

  • 電話番号がスマホでタップできるようになっている
  • タップをイベントとして計測している
  • タップ数を問い合わせ件数と混同していない
  • 電話の件数を別に記録している
  • 問い合わせの主な入口をフォームに寄せている

フォームからの問い合わせの数え方はGA4のキーイベント設定をご覧ください。

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施策の効果測定と実験設計が専門。 世に出ている成功事例の多くは、比較対象が置かれていないか、社会的背景と施策が分離されていないにもかかわらず、なぜか過去の多数の失敗事...

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