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申込数と参加率の先を見る

セミナー・ウェビナーの効果測定

セミナーの報告が「申込90名、参加60名」で終わっていませんか。この2つだけでは、次回どこを変えるべきか決まりません。見るべきはその先で何が起きたか、言い換えれば参加した人のうち何人が商談になったかです。この記事では、段階ごとの数え方と、参加者を商談まで追う記録の作り方、回ごとの比べ方を説明します。

段階ごとの数え方も回ごとの比べ方も、同じ回の数字を追いかけると違いがはっきりします。この記事では、次の2回分のセミナー(架空・仮の数字)を最後まで使います。

この記事で使う事例(架空の会社・仮の数字)

  • 法人向けに、同じテーマのオンラインセミナーを毎月開いている会社
  • 今回:告知ページへの訪問1,500人、申込90人、参加60人、最後まで視聴40人、60日以内の商談3件
  • 前回:告知ページへの訪問2,000人、申込110人、参加77人、最後まで視聴50人、60日以内の商談5件
  • 今回の広告費は15万円

段階ごとに数える

セミナーは、告知ページへの訪問から商談まで、いくつもの段階を通過します。最終的な商談数が少ないとき、原因はどの段階にもありえます。段階ごとに数を出しておけば、どこで大きく落ちているかが分かり、直すべき場所が1つに絞れます。段階と、落ちているときに疑うことは次のとおりです。

段階 落ちている場合に疑うこと
告知ページへの訪問集客経路が足りない
申込テーマか、告知ページの内容
参加リマインドの回数・タイミング
最後まで視聴内容の構成、時間の長さ
商談化テーマと商材のずれ、フォローの遅さ

段階ごとの数は、出どころを決めておくと毎回同じ方法で出せます。

段階 数える場所 数え方の決まり
告知ページへの訪問 GA4 告知開始から開催日までのユーザー数
申込 申込フォームの管理画面 重複申込と社内の申込を除く
参加 配信ツールの参加記録 1分以上入室した人
最後まで視聴 配信ツールの視聴記録 全体の8割以上を視聴した人
商談化 CRM 開催日から60日以内に商談になった人

「1分以上」「8割以上」「60日以内」などの線引きは、自社で決めてよい数字です(表の値は仮の例)。大事なのは、一度決めたら回ごとに変えないこと。線引きが回ごとに違うと、率の差が中身の差なのか数え方の差なのか分からなくなります。

申込は、集客経路ごとにも分けて数えておきます。告知ページへのリンクに経路ごとのUTMパラメータを付ければ、メール・広告・SNS・自然検索のどこから申込が来たかが分かります(UTMパラメータの付け方 ― 社内で決めておく3つのルール)。経路によって、参加率や商談化率が大きく違うことがあるためです。たとえば、既存顧客へのメールから来た申込は参加率が高い一方で、新しい商談にはつながりにくい、といった違いが見えます。

注意したいのは、参加率が低いことと商談化率が低いことは別の問題だという点です。事例の今回は申込90名・参加60名・商談3件で、参加率約67%は悪くなく、大きく落ちているのは参加から商談への段階(60名中3件、5%)です。この場合にリマインドを増やして参加率を上げても、商談はほとんど増えません。段階ごとに数を並べ、最も落ちている段階を特定してから手を打ちます。

会場開催とオンライン開催の違い

会場で開くセミナーとオンラインのウェビナーでは、段階ごとの数字の出方が違います。会場開催は申込のハードルが高いぶん、申込から参加までの率が高く出やすい傾向があります。オンラインは申込しやすい一方で、当日に参加しない人や途中で退出する人が増えやすくなります。

そのため、形式の違う回を同じ表で比べると、形式の差を中身の差と取り違えます。仮に、事例の会社が以前に会場で開いた回の参加率が85%で、オンラインの今回が約67%だったとしても、今回の内容が悪かったとは言えません。比べるときは、形式ごとに表を分け、同じ形式の回同士で比べます。形式を変えるかどうかを判断したいなら、比べる指標は参加率ではなく、申込1件あたり、または費用1万円あたりの商談の件数にします。

参加後の行動を追う

商談化率を出すには、参加者が誰かを記録に残し、商談の記録とつなぐ必要があります。セミナーの配信ツールや申込フォームの中にだけ参加者の情報があると、営業が持つ商談の記録と照らせません。次の項目をCRMの顧客情報に紐づけてください。回の名前を残しておくと、後から「あの回の参加者は商談化率が高かった」と言えるようになります。

  • どの回に申し込んだか(回の名前)
  • 参加したかどうか
  • 視聴時間(ウェビナーの場合)
  • アンケートの回答

フォローの優先順位は、視聴時間とアンケートを組み合わせて決めます。例として、次のように分けます。

区分 条件の例 フォロー
すぐ連絡 アンケートで「相談したい」を選んだ 翌営業日までに電話かメール
早めに連絡 最後まで視聴し、課題の記入がある 1週間以内に資料と個別の案内
定期の案内 途中で退出、またはアンケート未回答 次回のセミナーやメールで案内

区分ごとに、フォローした日と結果もCRMに残します。「すぐ連絡」の商談化率が「定期の案内」と変わらないなら、アンケートの聞き方か区分の条件を見直す合図です。

アンケートは、フォローに使える形で設問を作ります。満足度の5段階だけでは、誰に連絡すべきかが分かりません。次のような設問を入れておくと、区分けにそのまま使えます。

  • 今回のテーマについて、社内で検討を始めていますか(検討中/情報収集中/予定なし)
  • 個別に相談したいことはありますか(相談したい/資料がほしい/今は不要)
  • 今いちばん困っていることを一言で教えてください(自由記述)

自由記述の回答は、次のセミナーのテーマを決める材料にもなります。同じ困りごとが複数の回で出てくるなら、それを主題にした回を企画します。

視聴時間は、フォローの優先順位を付ける手がかりになります。最後まで見た人と、開始5分で離脱した人では、関心の度合いが違うからです。ただし、視聴時間だけで切り捨てないでください。途中で会議が入った決裁者が、後日問い合わせてくることもあります。視聴時間は、あくまで優先順位の目安です。

フォローの結果を次の回に返す

フォローの結果は、次のセミナーの企画に返してはじめて意味を持ちます。営業が連絡した結果、「関心はあるが時期が先」「テーマは良いが自社の規模には合わない」といった反応が集まります。こうした反応を回ごとにまとめ、次の回のテーマや告知の対象を決める材料にします。

仮に、ある回のフォローで「予算の取り方が分からない」という反応が5件あったなら、次の回は「導入の予算をどう社内で通すか」をテーマにする、といった使い方です。反応の記録は、選択式の理由と、一言の自由記述の2つで残すと、集計と中身の確認の両方ができます。営業とマーケの月1回の突き合わせの場で、セミナーの反応も一緒に見ると手間が増えません。次の回の企画を決める前に、この記録を見返すのを決まりにしてください。

回ごとに比べて、直す場所を決める

回ごとの数字を並べると、良かった回と悪かった回が見えてきます。ただし、回によって告知の条件が違うため、そのまま比べると中身の差と条件の差を取り違えます。比べる前に、次の条件をそろえるか、そろっていない回を別扱いにしてください。比較の置き方そのものは「効果があった」と言う前に ― 比較対象の置き方で扱っています。

  • 告知期間の長さ … 2週間前からと1か月前からでは申込数が違います
  • 告知した経路 … 既存顧客へのメールを送った回と、送らなかった回は比べられません
  • 時期 … 年度末や連休前後は、参加率が下がることがあります
  • 件数 … 参加者20名程度なら、商談化率は偶然の差に埋もれます。数回分をまとめるか件数のまま見ます(件数が少ないときに、率だけで判断しない)

件数が少ない回は、同じテーマの回をまとめて比べます。事例の参加者に対する商談の率は、今回が5%(60名中3件)、前回が約6.5%(77名中5件)で、1回ずつでは揺れて見えます。2回をまとめると参加137名で商談8件、約5.8%です。別のテーマも同じように数回分をまとめ、100名を超える規模同士で比べると、回ごとの偶然に振り回されにくくなります。

直す場所が決まったら、次の回で変えるのは1つだけにします。テーマと告知の経路とリマインドを同時に変えると、どれが効いたか分からないためです。変えた点と回の名前を記録し、次の回の表で同じ段階の率を比べます。件数が少ない段階なら、2〜3回分を続けて見てから判断します。

条件をそろえて最も落ちている段階が分かったら、その1箇所から直します。申込が少なければテーマを具体的にし(「〇〇の基礎」より「〇〇で失敗する3つのパターン」)、参加率が低ければ前日と当日朝にリマインドを送り、途中離脱が多ければ冒頭で全体の流れを示すか時間を短くします。商談化しない場合は、集客のために間口を広げすぎ、自社の顧客になりうる人が減っている可能性があります。事例なら、テーマと商材のずれやフォローの遅さを先に疑います。

1回分の数字を1枚の表にする

段階ごとの数と記録がそろったら、1回ごとに1枚の表にまとめます。報告のたびに同じ形で並べれば、前の回との比較が一目でできます。事例の今回を表にすると、次のようになります。

段階 人数 前の段階からの率 前回の率
告知ページへの訪問 1,500人 ― ―
申込 90人 6.0% 5.5%
参加 60人 66.7% 70.0%
最後まで視聴 40人 66.7% 64.9%
商談化(60日以内) 3人 7.5%(視聴40人に対して) 10.0%

今回は、申込・参加・視聴の率は前回と大差がありません。商談化の率は7.5%と前回の10.0%(視聴50人中5人)より低いものの、件数は3人で、前回と2人の違いでしかありません。この場合は「商談化が落ちた」と決めず、次の回まで様子を見るのが妥当です。件数が少ない差で、結論を急がないこと。

表の下には、費用も1行添えておきます。事例の今回は広告費15万円で商談3件なので、商談1件あたり5万円です。展示会や広告など、ほかの経路の商談1件あたりの費用と並べると、セミナーを続けるか、規模を変えるかを判断する材料になります。登壇の準備にかかった時間も書いておくと、見えない費用まで含めて比べられます。

よくある質問

アーカイブ配信の視聴者は、どう数えればよいですか

当日の参加者とは分けて数えます。アーカイブの視聴者は見たい部分だけ見ることが多く、視聴時間の意味が当日とは違うからです。表に「アーカイブ視聴」の行を別に設け、商談化も別に数えます。アーカイブからの商談が一定数あるなら、当日の参加率が低くても、テーマの価値は下がっていないと読めます。

商談化を数える期間は、何日にすればよいですか

自社の過去のセミナーで、参加から商談までにかかった日数を並べ、多くが収まる日数を選びます。仮に、過去の商談の8割が45日以内に生まれていたなら、60日で区切れば大半を拾えます。期間を短くしすぎると、検討の長い企業の商談を取りこぼします。長くしすぎると、セミナーと関係のない商談まで数えてしまうため、ほどほどの長さで固定してください。

他社と共催したセミナーの効果は、どう測りますか

まず、参加者の情報を自社で受け取れるかを、開催前に確かめます。申込フォームでの同意の取り方によっては、共催相手の申込者の情報を受け取れないことがあります。受け取れる範囲の参加者についてだけ商談化を数え、受け取れなかった人数も表に書いておきます。自社単独の回とは集客の条件が違うため、比べるときは別扱いにしてください。

まとめ

セミナーは段階ごとに数え、どこで落ちているかを特定してください。申込数と参加率だけでは、次に何を変えるべきか決まりません。商談化率を出すには参加者を回の名前とともに記録し、回ごとに比べるときは告知期間と経路をそろえます。記録の仕組みを先に作り、最も落ちている段階から1つずつ直してください。

確認リスト

  • 訪問・申込・参加・視聴・商談を段階ごとに数えている
  • 参加者をCRMに回の名前つきで記録している
  • 視聴時間を記録している
  • 回ごとの比較で、告知期間と経路をそろえた
  • 最も落ちている段階を1つ選んで手を打った

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datamake

施策の効果測定と実験設計が専門。 世に出ている成功事例の多くは、比較対象が置かれていないか、社会的背景と施策が分離されていないにもかかわらず、なぜか過去の多数の失敗事...

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