ロングテールキーワードを狙う理由
ロングテールキーワードとは、検索数は少ないものの、意図がはっきりしている語のことです。「GA4」ではなく「GA4 キーイベント 設定できない」のような語です。検索数が少ない語を狙うのは、大きな語で勝てないからではありません。成果につながりやすいからです。
小さな語の積み上げがどれほど効くかは、訪問と成果の数字を並べると見えてきます。この記事では、次の架空のサイトの数字を、理由の説明から成果の確かめ方まで使います。
この記事で使う事例(仮の数字)
- 架空の会社のサイト(仮の数字)。具体的な語の記事は、1本あたり月30訪問ほど
- 大きな語「データ分析」で上位を取った記事は、月2,000訪問・成果率0.2%
- 具体的な語の記事のグループは、半年前の10本・月300訪問・成果2件から、今は30本・月900訪問・成果6件
狙う3つの理由
ロングテールを狙う理由は3つあります。1つ目は、後発でも上位に入りやすいことです。検索数の大きい語は大手メディアや先行企業が既に対策していますが、具体的な語は競合が少なく、内容が合っていれば比較的早く順位が付きます。2つ目は、検討が進んだ人が来ることで、語が具体的なほど検索した人の状況がはっきりします。
| 検索語 | 検索した人の状況 |
|---|---|
| データ分析 | 学生かもしれない。何を知りたいか不明 |
| データ分析 外注 費用 | 外注を検討している。予算を調べている |
3つ目は、積み上がることです。事例のサイトでは、具体的な語の記事は1本あたり月30訪問ほどですが、30本あれば月900訪問、50本なら月1,500訪問になります。検索数の大きい語で1位を取ることと、小さい語で何十本も上位を取ることは、訪問数では同じになりえますが、かかる時間と確実性が違います。しかも1本ずつは競合が弱いため、順位が安定しやすい傾向があります。
成果の面でも、事例で比べておきます。大きな語「データ分析」で上位を取った記事は、月2,000訪問を集めても成果率が0.2%なので、成果は月4件です。具体的な語の記事30本は、合わせて月900訪問ですが、成果は月6件(約0.7%)でした。訪問数は半分以下でも、成果は上回ることがある、ということです。
ただし、事例の成果率は説明のための仮の値です。実際の差は、自社のサイトで語の種類ごとに成果率を出して確かめてください。着地ページ別の成果の見方は着地ページ別に成果を見るで説明しています。
語の見つけ方
ツールで探す前に、手元にある2つの材料から探します。どちらも、実際に誰かが使った言葉なので、需要があることが確かだからです。ツールで見つかる語は推計の検索数に頼りますが、この2つは推計に頼りません。
- 顧客の質問を書き出す:商談や問い合わせで実際に聞かれたことを、そのまま検索語にする。「導入までどれくらいかかりますか」は「〇〇 導入 期間」になる
- サーチコンソールで拾う:既に表示されている語の中に、想定していなかった具体的な語が混じっている。表示回数が1桁でも、意図がはっきりしていれば記事にする価値がある(見方はサーチコンソールのクエリを分析する ― 4つの箱に分ける)
顧客の質問を語に直す手順は次のとおりです。
- 商談のメモや問い合わせのメールから、質問の文をそのまま書き写す(例:「今使っている会計ソフトのデータは移せますか」)
- 質問の中心になる名詞を2〜3個取り出す(会計ソフト、データ、移行)
- 悩みの形を表す言葉を足す(「方法」「できない」「費用」「期間」など)
- できた語で実際に検索し、上位の記事がその質問に答えているかを見る。答えている記事が少なければ、書く価値が高い
サーチコンソールでは、具体的な語だけを絞り込むと探しやすくなります。検索パフォーマンスのクエリの絞り込みで、「方法」「できない」「費用」などを含む語だけを表示させる方法が手軽です(2026年9月時点では、正規表現を使った絞り込みもできます)。表示回数が少なくても、自社のサービスに近い語が見つかったら、候補の表に加えてください。
よくある誤りは、検索数が「0」や「データなし」と出た語を捨ててしまうことです。ツールが推計できないほど小さい語でも、顧客が実際に口にした質問なら、その答えを探している人は確かにいます。
記事の書き方
ロングテールの語で書く記事は、長くする必要がありません。検索した人は、1つの具体的な疑問の答えを探しているからです。1つの疑問に、正確に答えることを優先し、次の3点を守ります。
- 結論を最初に書く。検索した人は答えだけを探している
- 関連する話題に広げすぎない。別の語を狙った自社の記事と競合する
- 次に知りたくなることへ内部リンクを置く
構成の例を1つ。「GA4 キーイベント 設定できない」なら、冒頭に「多くの原因は、イベントがまだ届いていないか、名前が一致していないかのどちらかです」と答えの方向を書きます。続けて、原因を2〜3個に分けて、それぞれの確かめ方と直し方を書き、最後に「そもそも何をキーイベントにすべきか」の記事へ案内します。見出しは3つ程度で足り、字数を増やすために関係の薄い一般論を足す必要はありません。
3つ目が特に効きます。具体的な語で来た人は、その疑問が解けると、より大きな疑問に進むことが多いからです。たとえば「GA4 キーイベント 設定できない」で来た人は、解決後に「何をキーイベントにすべきか」を知りたくなります。
限界と、次の段階
ロングテールだけでは届かないものもあります。限界を知らずに続けると、本数だけが増えて手に負えなくなります。主な限界は次の3つです。
- まだ課題に気づいていない層には届かない:具体的な語を検索するのは、既に困っている人だけ
- 記事数が必要:1本あたりの訪問が少ないため、まとまった数が要る
- 管理が必要になる:本数が増えると重複が起きる(コンテンツ棚卸しのやり方 ― 記事を3つに仕分ける)
成果の確かめ方にも工夫が要ります。1本あたりの訪問が少ないので、記事ごとに見ていても増減は偶然の範囲に収まります。ロングテールの記事をひとまとめのグループとして、グループ全体の訪問数と成果数を月ごとに並べてください。事例のサイトでは、半年でグループの記事が10本から30本に増え、訪問が月300回から900回、成果が月2件から6件になりました。成果率は変わらないまま件数が3倍になっており、積み上げの効果が表れていると読めます。
本数が溜まってきたら、関連する記事をまとめて大きな語を狙う段階に進めます。小さな記事が上位に並んでいるテーマなら、それらを束ねる記事を作ったときにも評価されやすくなります。
よくある質問
Q. 何本くらい書けば効果が見えてきますか。
語の競争の強さや、サイトがどれだけ検索で評価されているかで大きく変わるため、決まった本数はありません。本数を目標にするより、「半年でグループの成果が増えたか」を確かめる時点を決めておくほうが、判断に使えます。増えていなければ、語の選び方が顧客とずれていないかを見直してください。
Q. 似た具体的な語が複数あります。1本ずつ書くべきですか。
検索した人の疑問が同じなら、1本にまとめます。「会計ソフト データ 移行」と「会計ソフト 乗り換え データ」は、言い方が違っても答えが同じなら1本で足ります。分けて書くと、自社の記事同士で順位を取り合うことがあるので、それぞれの語で検索して上位の顔ぶれが同じかを確かめてください(カニバリゼーション ― 自社の記事同士で競合する)。
まとめ
ロングテールキーワードを狙うのは妥協ではありません。後発でも上位に入りやすく、来る人が見込み客に近いからです。語は顧客の質問とサーチコンソールから拾え、記事は1つの疑問に正確に答えれば十分です。小さく確実な記事を積み上げ、溜まったところで大きな語へ広げてください。
確認リスト
- 商談・問い合わせで聞かれたことを書き出した
- サーチコンソールで具体的な語を拾った
- 検索数の大きさだけで語を選んでいない
- 1記事1テーマに絞っている
- 次に知りたくなる記事へ内部リンクを置いた
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