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後から聞いても正確には分からない

リードの獲得元を記録する ― 後から聞けないこと

「この問い合わせはどこから来たのか」。後から調べようとしても、正確には分かりません。獲得元は問い合わせと同時に記録するしかありません。仕組みを作るのは難しくありませんが、作っていない会社が多い領域です。この記事では、記録の方法と限界、記録した後の使い方を説明します。

獲得元を記録すると何が分かるのかは、数字が入った台帳で見るのがいちばん伝わります。後半の節では、次の架空の会社の3か月分の記録を例に説明します。

この記事で使う事例(仮の数字)

  • BtoBの会社(架空の会社・仮の数字)。7〜9月の3か月分の台帳を使う
  • 広告経由の問い合わせは60件で、商談になったのは6件。広告費は月20万円
  • 検索経由の問い合わせは24件で、商談になったのは12件
  • 検索経由の24件のうち、アンケートで6件が「展示会・セミナー」、4件が「知人・取引先の紹介」と回答

なぜ後から分からないのか

アクセス解析には訪問の記録が残っていますが、それが誰かは分かりません。問い合わせフォームには名前と会社名がありますが、どこから来たかは残っていません。この2つが別々の場所にあり、つなぐ手がかりが無いため、後から照合できないのです。

送信時刻で突き合わせる方法もありますが、確実ではありません。仮に同じ5分間に3件の訪問でフォームが開かれていれば、どれが問い合わせた人かは特定できません。さらに計測は過去に遡れないため、「後で分析したくなったとき」にはもう記録がありません。

サイトの外から来るリードも同じです。展示会の名刺、電話、紹介のメールは、そもそもアクセス解析に記録が残りません。名刺なら「受け取った展示会の名前と日付」、電話なら「受けた日と、どこで知ったか」を、受け取ったその日に台帳へ書き込む決まりにします。1週間後にまとめて書こうとすると、どの名刺がどの展示会のものか分からなくなります。

当てはまらない場合もあります。問い合わせが月に数件で、担当者が1件ずつ電話で話している規模なら、仕組みを作る前に「どこで知ったか」を会話の中で聞いて台帳に書くだけで、当面は足ります。仕組みが必要になるのは、件数が増えて会話で聞ききれなくなったときや、広告に毎月まとまった費用をかけ始めたときです。そのときに慌てないよう、台帳の列だけは先に用意しておいてください。

自動で記録する方法

考え方は、フォーム送信時に訪問の情報を一緒に送ることです。初回訪問時に流入元をブラウザに保存し、フォーム送信時に隠し項目として問い合わせ内容と一緒に送ります。すると、フォームの管理画面やCRMに、その値が問い合わせと同じ行で残ります。実装方法はフォームによりますが、記録する項目は共通です。

項目 分かること
流入元 検索・広告・メール・SNSのどれか
最初に見たページ どの記事が入口になったか
問い合わせ直前のページ 何を見て決めたか
初回訪問日 検討にかかった期間

実装は制作会社やフォームのサービスに頼むことが多いので、依頼するときに伝える内容を整理しておきます。

  1. サイトに初めて来たときの流入元(参照元とUTMの値)と着地ページを、ブラウザに保存する
  2. 問い合わせフォームに、画面には表示しない項目(隠し項目)を4つ追加する
  3. 送信のときに、保存しておいた値と、直前に見ていたページを隠し項目に入れて送る
  4. フォームの管理画面やCRMで、問い合わせと同じ行にその値が残ることを確かめる

完成したら、自分でテストをします。サイトのアドレスの末尾に「?utm_source=test&utm_medium=test」を付けて開き、いくつかページを見てからテストの問い合わせを送ります。管理画面で、流入元の欄に「test」が入っていれば正しく動いています。テストの問い合わせは、集計から外せるように件名などに印を付けてください。保存するのは流入元とページの情報だけで、個人を特定する情報は含めません。それでもプライバシーポリシーでアクセス情報の扱いをどう示しているかは、設置の前に確かめておきます。

広告やメールからの流入を区別するには、リンクにパラメータを付けておく必要があります(UTMパラメータの付け方 ― 社内で決めておく3つのルール)。また、自動記録には次の限界があります。

  • 保存期間には限りがある:検討が数か月に及ぶBtoBでは、初回の情報が消えていることがある
  • 端末が変わると追えない:会社のPCで調べて、後日別の人が問い合わせる場合は別人として記録される
  • 同意管理の設定によっては記録できない:同意管理と計測 ― 何が欠けるのかをご覧ください

「どこで知りましたか」の限界

フォームに「どこで知りましたか」の選択肢を置く方法もあります。手軽ですが、回答は本人の記憶と解釈に頼るため、自動記録と同じ正確さはありません。次の点に注意してください。

  • 回答が正確とは限らない:紹介で知って後日検索で来た人は、「知人の紹介」を選ぶ
  • 項目が増えると送信率が下がる:必須にすると離脱が増える(BtoBフォームの項目を減らす ― どこまで削るか)
  • 選択肢に無いものは拾えない:「その他」が最多になると意味がない

選択肢の作り方の例。「検索エンジン」「広告」「展示会・セミナー」「知人・取引先の紹介」「SNS」「メールマガジン」「以前から知っていた」「その他(自由記入)」の8つ程度に収めます。選択肢が多すぎると、似たものの区別がつかず回答がばらけます。半年に1回、「その他」に書かれた内容を読み、同じ答えが多ければ新しい選択肢として足してください。

ただし、アンケートには自動記録に無い強みがあります。自動記録は「直前の流入元」、アンケートは「きっかけ」を拾うため、役割が違うのです。両方あると、検索から来た人の中に、実は展示会で知った人が混ざっていることが分かります。

両方を並べると、事例では次のことが分かりました。自動記録で流入元が「検索」だった問い合わせ24件のうち、6件はアンケートで「展示会・セミナー」、4件は「知人・取引先の紹介」と答えていました。検索は問い合わせの直前の入口で、きっかけは展示会や紹介だった、という流れです。この場合、検索からの問い合わせが増えたときに「記事が効いた」とだけ判断すると、展示会や紹介の役割を小さく見積もることになります。

記録した後にできること

獲得元が残ると、件数だけでは言えなかったことが言えるようになります。問い合わせの後の商談・受注の記録と結びつけられるからです。代表的なものは次の4つです。

  1. 獲得元ごとの商談化率 … 数は多いが商談にならない獲得元を見つけられる
  2. 入口になった記事 … どの記事が最初の接点になっているか
  3. 検討期間 … 初回訪問から問い合わせまでの日数
  4. 広告の費用対効果 … 受注までたどれば、獲得元ごとの採算が出せる

事例の3か月分で計算します。広告経由の問い合わせは60件で、そのうち商談になったのは6件、商談化率は10%です。検索経由は24件のうち12件で50%でした。広告費は月20万円なので3か月で60万円、広告経由の商談1件あたりの費用は10万円です。この数字を、記事の制作にかけた費用で出した同じ指標と並べると、次の四半期にどちらへ手間と費用を回すかを比べられます。

毎月の集計は、台帳をスプレッドシートのピボットテーブルで「獲得元」ごとに数えると、数分で終わります。列は「問い合わせ日」「獲得元(自動記録)」「きっかけ(アンケート)」「商談になったか」「受注したか」の5つがあれば足ります。受注までの期間が長い商材では、数か月前の問い合わせの「受注したか」の欄を後から埋めることになるので、毎月の集計の日に、前の月までの行も見直してください。

1つ目が特に重要です。事例を月あたりに直すと、広告経由は月20件で商談2件、検索経由は月8件で商談4件です。件数だけを見て広告に予算を寄せる判断は、商談の数で見ると逆になります。ただし件数が少ない間は、率の差が偶然のこともあるため、数か月分をまとめて比べてください。

まとめ

リードの獲得元は、問い合わせと同時に記録するしかなく、後から照合する方法はありません。自動記録は直前の流入元を、アンケートはきっかけを拾い、役割が違うので両方あると精度が上がります。記録が残れば、獲得元ごとの商談化率で判断できるようになります。仕組みを先に作り、件数ではなく商談につながる獲得元を見てください。

確認リスト

  • フォーム送信時に流入元を記録している
  • 最初に見たページも記録している
  • 広告・メールのリンクにパラメータを付けている
  • アンケートの回答を鵜呑みにしていない
  • 獲得元ごとの商談化率を見られる状態になっている

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施策の効果測定と実験設計が専門。 世に出ている成功事例の多くは、比較対象が置かれていないか、社会的背景と施策が分離されていないにもかかわらず、なぜか過去の多数の失敗事...

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