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期間比較の落とし穴 ― 曜日・祝日・営業日をそろえる

レポートでよく使う「前月比」。手軽ですが、月によって日数も曜日の並びも違うため、そのままでは比べられないことがあります。条件がずれたまま比べると、何もしていないのに「改善した」と報告してしまいます。この記事では、見落としやすい条件と、そのそろえ方を整理します。

暦のずれがどれほど数字を動かすかは、具体的な件数で計算してみるのが早道です。以下では、次の架空のサイトの数字を使って、原因から報告の書き方までを説明します。

この記事で使う事例(仮の数字)

  • BtoBのサービス会社のサイト(架空の会社・仮の数字)。問い合わせは平日1日あたり2件前後
  • 前月は平日19日で問い合わせ36件、今月は平日22日で44件
  • 前年の同じ月は平日22日で40件。前年からの変化として、半年前から広告費を月5万円増やしている

条件がずれる原因

期間比較で数字が動く原因は、施策だけではありません。暦そのものが月ごとに違い、それだけで数字が上下します。特にBtoBのサイトは平日にアクセスが集中するため、平日の数の違いがそのまま結果に出ます。見落としやすい条件は次のとおりです。

  • 日数が違う:28日の月と31日の月では、それだけで1割ほど差が出る
  • 曜日の数が違う:平日が1日多い月は、それだけで数字が伸びる
  • 祝日:連休の有無で平日の数が変わる
  • 年末年始・お盆:業種によって、上がる時期と下がる時期が分かれる
  • 月末月初:請求や締めの時期に動きが偏る業種がある

事例のサイトで確認します。平日1日2件のペースがまったく変わらなくても、平日が19日の月は38件、22日の月は44件になります。何もしなくても6件増える計算で、これを「前月比◯%増」と報告すると、暦の違いを施策の成果として伝えることになります。

暦のほかにも、比べる2つの期間の間で変わったことを書き出しておくと安全です。広告の出稿量、メールマガジンの配信日、展示会への出展、テレビや新聞での紹介などは、施策と関係なく数字を動かします。例えば前月にメールマガジンを2回、今月は4回配信していれば、その差だけで訪問は増えます。

前年と比べるときに見落としやすいのが、曜日の並びのずれ。前年の同じ日付は、曜日が1日(うるう年をはさむと2日)ずれます。1日単位や1週間単位で前年と比べる場合は、同じ日付ではなく、364日前(ちょうど52週前)の同じ曜日と並べると、平日と休日の数がそろいます。月単位で比べる場合も、平日の数が前年と同じかを先に数えてください。

そろえ方

条件をそろえる方法は3つあり、状況によって使い分けます。どれも、暦のずれを比較から取り除くための工夫です。迷ったら、まず28日単位を使ってください。

比べ方 やり方と理由 向いている場面
28日単位 月ではなく4週間で区切る。曜日の数が必ず同じになり、平日・休日の偏りが消える 毎月の定期確認。まずこれ
1日あたり 合計ではなく「平日1日あたりの件数」に直す。日数の違いも祝日の影響も吸収できる 件数が多いサイト
前年同期 前年の同じ時期と比べる。季節の波をそろえられる 季節の影響が大きい商材

事例で、1日あたりに直してみます。今月は平日22日で問い合わせ44件、前月は平日19日で36件でした。合計で比べると44÷36で約22%増ですが、平日1日あたりに直すと今月は2.0件、前月は約1.9件で、増え方は約6%です。22%増のうち大半は、平日が3日多かったことで説明できます。

28日単位は、GA4やサーチコンソールの期間の設定で手軽に使えます。どちらにも「過去28日間」を選ぶ項目があり、比較の設定をオンにすると、その前の28日間と並べて表示できます(2026年9月時点)。気をつけたいのは、見る日によって区切りが動くことです。毎月の報告に使うなら「毎月第1月曜日に、その前日までの28日間を見る」のように見る日を固定し、区切りの曜日がいつも同じになるようにしてください。

日々の数字をそろえるには、スプレッドシートに「暦の表」を1枚作っておくと便利です。手順は次のとおりです。

  1. 1行に1日、日付・曜日・「営業日かどうか」の3列を作る(祝日や自社の休業日は営業日を「いいえ」にする)
  2. GA4などから日別の訪問数や成果数を書き出し、日付をそろえて横に貼る
  3. 期間ごとに「営業日の成果の合計 ÷ 営業日の数」を計算する

この表は一度作れば毎月使えます。休業日を自社の実態に合わせて入れておくと、年末年始や夏季休業の長さが年によって違っても、同じ物差しで比べられます。

それぞれに弱点もあります。28日単位でも、片方の期間に祝日が入ればずれは残ります。1日あたりは、件数が少ないと「1日0.4件」のように細かくなりすぎて読みにくくなります。前年同期は、前年から広告費や商品構成が変わっていれば、その分を差し引いて考える必要があります。

報告での書き方

比べ方をそろえても、報告に条件が書かれていなければ、読む人は判断できません。数字だけの報告は、受け取った人が暦のずれを自分で確かめる手間を生みます。比較の条件を1行添えるだけで、報告の質が変わります。

避けたい書き方

問い合わせが前月比22%増加しました。

おすすめの書き方

問い合わせは前月の36件から44件に増えました。ただし平日が19日から22日に3日増えており、平日1日あたりでは約1.9件から2.0件、増え方は約6%です。

前年同期で比べる場合の書き方の例。「今月の問い合わせは前年同月の40件から44件に増えました(平日の数は前年22日、今年22日で同じ)。前年からの変化として、半年前から広告費を月5万円増やしています」。前年から変わった条件を1行添えることで、読む人は「増えた4件のうち、広告の増額でどこまで説明できるか」を考えられます。

件数が少ない月の書き方にも型があります。問い合わせが月に数件のサイトなら、「問い合わせは◯件(前月◯件)。件数が少ないため、増減は判断せず3か月の合計で見ます」のように、判断を保留したこと自体を書きます。書かずにおくと、読む人が1件の増加を「2割増」「3割増」と受け取ることがあるからです。件数の少ないときの見方は件数が少ないときに、率だけで判断しないで扱っています。

おすすめの書き方には、率だけでなく件数と平日の数が書かれている点にも注目してください。「22%増」も、件数で見れば8件の差で、その大半は平日の数の違いです。また、比べ方を毎回変えると推移が追えなくなるため、一度決めた比べ方は続けて使います。

グラフで示すときも同じ考え方です。月ごとの合計を棒グラフにするなら、各月の営業日の数を棒の下に書き添えるか、1営業日あたりの件数の折れ線を重ねます。日別の推移を見せるなら、土日や祝日の位置が分かるように印を付けると、落ち込みが休日によるものだと一目で伝わります。読む人が暦のずれを自分で探さなくて済むようにすることが、報告を作る側の役目です。

よくある質問

Q. 経営会議では月単位の報告が決まっています。28日単位は使えませんか。
月単位の報告はそのままで構いません。その代わりに、各月の営業日の数を同じ表に1列足し、1営業日あたりの件数も並べてください。月の合計と1日あたりの両方があれば、合計の増減が暦によるものかどうかを、会議の場で確かめられます。

Q. 週ごとに見る場合も、気をつけることはありますか。
週は曜日の数が必ずそろうので、月より比べやすい単位です。ただし、祝日や連休が入った週は平日が少なくなります。祝日のある週には印を付け、その週だけの増減で判断しないようにしてください。

Q. 大型連休の時期が前年とずれています。どう比べればよいですか。
連休の前後で問い合わせが移動することがあるため、連休を含む月だけで比べると、ずれが大きく出ます。連休を含む前後2か月をまとめて前年の同じ2か月と比べると、移動の影響が小さくなります。まとめた期間の営業日の数も、前年と並べて書いてください。

まとめ

期間比較は、条件をそろえてから行います。日数・曜日・祝日のずれは、何もしなくても数字を動かします。迷ったら28日単位で比べ、報告には件数と比較の条件を書き添えます。暦のずれを取り除いてから、施策の効果を語ってください。

確認リスト

  • 比較する期間の日数がそろっている
  • 曜日の数がそろっている
  • 祝日・連休の有無を確認した
  • 報告に件数と比較の条件を書いている
  • 毎月同じ比べ方を使っている

そもそも何と比べるかについては、「効果があった」と言う前にをご覧ください。

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施策の効果測定と実験設計が専門。 世に出ている成功事例の多くは、比較対象が置かれていないか、社会的背景と施策が分離されていないにもかかわらず、なぜか過去の多数の失敗事...

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