流入元の分類を整理する ― 「直接アクセス」が多い理由
GA4のレポートで「直接アクセス(Direct)」が大きな割合を占めていることがあります。社名を知っている人がそれだけ多いのだと解釈しがちですが、実際には分類できなかった訪問がここに入ります。この記事では、分類のしくみと直接アクセスが膨らむ理由、精度を上げる手順を説明します。
この記事でわかること
直接アクセスの中身は、画面の説明より実際の数字で追ったほうがつかみやすくなります。この記事では、次の架空のサイトを1つ決めて、各節で同じ数字を読んでいきます。
この記事で使う事例(仮の数字)
- 架空の会社のサイト(仮の数字)。毎月メールマガジンを配信しているが、リンクにUTMパラメータは付けていない
- 7〜9月は、訪問全体の40%が直接アクセス
- 9月の直接アクセスは900回。メールマガジンの配信日だけ、平日の約2倍に跳ねた
- 900回のうち400回は、メールマガジンでだけ案内した「料金改定のお知らせ」に着地
流入元はどう決まるか
ブラウザは、リンクをたどってページを開くとき「どこから来たか」の情報(参照元)を渡します。GA4はそれと、URLに付いたUTMパラメータなどを見て分類します。裏返せば、参照元もUTMパラメータも無い訪問は、どこから来たか判断できません。主な分類は次のとおりです。
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| 自然検索 | 検索結果から(広告以外) |
| 参照 | 他のサイトのリンクから |
| 有料検索・ディスプレイ | 広告から(設定が正しい場合) |
| 直接 | どこから来たか分からなかった訪問 |
GA4の画面で分類を見るには、「レポート」の「集客」にある「トラフィック獲得」を開きます(2026年9月時点)。表の見出しを「セッションの参照元 / メディア」に切り替えると、分類の元になった情報がそのまま見えます。例えば「google / organic」はGoogleの自然検索、「example.com / referral」はそのサイトのリンクから、「(direct) / (none)」は手がかりが無かった訪問です。分類名だけでは分からない中身を、この組み合わせで確かめられます。
よくある誤りは、「トラフィック獲得」と「ユーザー獲得」の数字を混ぜて比べることです。トラフィック獲得は訪問(セッション)ごとに、その訪問がどこから来たかで分けます。ユーザー獲得は、その人が最初にサイトに来たときの流入元で分けます。同じ人が最初は検索で来て、2回目にブックマークから来た場合、トラフィック獲得では「自然検索」と「直接」に1回ずつ、ユーザー獲得では「自然検索」に1人として数えられます。
どちらを使うかは、知りたいことで決めます。「どの流入元が新しい人を連れてきたか」を知りたいならユーザー獲得、「今月の訪問がどこから来たか」を知りたいならトラフィック獲得です。月次の記録では、どちらを使ったかを表に書き添えておくと、翌月以降も同じ数字で比べられます。
「直接アクセス」に入るもの
直接アクセスには、本来の意味(URLの直接入力やブックマーク)以外の訪問も入ります。参照元の情報が渡されない流入が、思った以上に多いからです。代表的なものは次のとおりです。
- URLを直接入力した、ブックマークから開いた(本来の意味)
- メールソフトやアプリからのリンク(情報が渡されない場合がある)
- QRコードやチラシからの流入
- SNSアプリ内のブラウザからの流入(渡されないことがある)
- URLにUTMパラメータを付けていないメールマガジン
中身を推測するもう1つの手がかりは、直接アクセスの着地ページ。トップページや会社名で探したときに出るページへの直接アクセスなら、アドレスの入力やブックマークの可能性があります。一方で、公開して間もない記事の長いアドレスに直接アクセスが多いなら、人が手で入力したとは考えにくく、アプリやメールのリンクから参照元が渡らずに来た訪問と見るのが自然です。
確かめる手順は次のとおりです。
- トラフィック獲得の表で「(direct) / (none)」だけに絞る
- 着地ページを追加の項目として並べ、訪問の多い順に上位10ページを見る
- 上位のページが「人が入力しそうなページ」か「リンクでしか来ないページ」かを分ける
- リンクでしか来ないページについて、そのページを載せたメールやSNS投稿、チラシがなかったかを確かめる
よくある誤りは、直接アクセスの増加を「知名度が上がった」と読むことです。事例のサイトでも、メールマガジンを配信した日だけ直接アクセスが平日の約2倍に跳ねていました。増えたのは知名度ではなく、UTMパラメータの無いメールからの訪問です。直接アクセスを日別に並べ、メール配信やチラシ配布の日と重ならないかを確かめると見分けられます。
着地ページから中身を推測する読み方を、事例で試します。9月の直接アクセス900回のうち、400回が「料金改定のお知らせ」というページに着地していました。このページはメールマガジンでだけ案内したもので、検索ではまだほとんど表示されていません。この400回はUTMパラメータの無いメールマガジンからの訪問と見てよく、残りの500回が本来の意味の直接アクセスに近い数字です。
分類の精度を上げる
精度を上げる手は3つあり、効果の大きい順に並べると次のとおりです。いずれも、自社で配ったり設定したりしている部分なので、自分で直せます。上から順に手を付けてください。
| 対処 | 何をするか・なぜ効くか |
|---|---|
| 1. 自社が配るリンクにUTMパラメータを付ける | メールマガジン、SNS投稿、QRコードなどのリンクにUTMパラメータを付ける。参照元が渡らなくても、UTMパラメータで分類できる |
| 2. 広告の連携設定を確認する | 広告の管理画面とGA4の連携が正しくないと、広告経由が「直接」や「参照」に混ざる。広告を出しているなら最優先 |
| 3. 決済・予約サービスを参照から除外する | 外部の決済や予約の画面から戻ると、新しい訪問として数えられることがある。除外リストに登録すると元の流入元が保たれる |
1つ目の対処は、具体的にはリンクの末尾にUTMパラメータを足す作業です。例えばメールマガジンのリンクなら、ページのアドレスの後ろに「?utm_source=newsletter&utm_medium=email&utm_campaign=2026-10」のように付けます。utm_mediumに「email」を入れておくと、GA4の標準の分類でもメールとしてまとめられます。書き方を社内でそろえておかないと、「mail」と「email」のように表記が割れて集計が面倒になります。
3つ目の除外設定は、自社サイトの前後で別のサービスを通る場合に効きます。決済や予約の画面から戻ってきた訪問が、その決済サービスからの「参照」として数えられていないかを、参照元の一覧で確かめてください。設定の方法は除外する参照元の設定で説明しています。
対処の効果は、同じ長さの期間で直接アクセスの割合を比べて確かめます。事例のサイトで、7〜9月は訪問全体の40%だった直接アクセスが、UTMパラメータを付け始めた後の10〜12月に28%になったとします。減った12ポイント分は、主にメールやSNSなど、UTMパラメータを付けた分類に移っているはずです。移った先の分類が増えていなければ、直接アクセスが減ったのは別の理由(訪問全体の構成の変化など)かもしれないので、分類ごとの件数も並べてください。
UTMパラメータの付け方はUTMパラメータの付け方にまとめています。ただし、すべてを正しく分類することはできません。アプリ内ブラウザや個人が転送したリンクなど、自社が手を入れられない流入は残ります。残った直接アクセスは、「分からなかった分」として注記を付けて読みます。
よくある質問
Q. 直接アクセスの割合は、どのくらいなら普通ですか。
業種やサイトの作り、配っている印刷物の量で大きく変わるため、他社と比べる目安はありません。比べる相手は自社の過去の割合です。割合が急に変わったときに、配信や設定の変更がなかったかを確かめる使い方をしてください。
Q. 参照元の一覧に、自社のドメインが出てきます。
自社サイトから自社サイトへの移動が「参照」として数えられている状態で、多くは計測の設定の問題です。サイトの一部が別のドメインにある場合や、一部のページに計測タグが入っていない場合に起こります。そのままだと元の流入元が上書きされ、成果がどの流入元から来たか分からなくなります。別のドメインをまたぐ場合はクロスドメイン計測の設定を、タグの漏れは計測が壊れていないか ― 月1回の点検リストを確かめてください。
Q. ChatGPTなどAIサービスからの訪問は、どこに入りますか。
参照元が渡される場合は、多くが「参照」に入ります。渡されない場合は直接アクセスに混ざるため、AIからの訪問をすべて数えられるわけではありません。見やすく分けたい場合は、AI経由の流入を、GA4のチャネルグループで分けるの方法が使えます。
まとめ
「直接アクセス」は「分からなかった箱」です。自社が配るリンクにUTMパラメータを付け、広告の連携と参照の除外を確認すれば、精度は上がります。それでも残る分は、分からないものとして扱います。直接アクセスの大きさで知名度を語らず、まず自社のUTMパラメータの付け忘れを疑ってください。
確認リスト
- 自社が配るリンクにUTMパラメータ(UTMパラメータ)を付けている
- 広告の連携設定を確認した
- 決済・予約サービスのドメインを除外設定に入れた
- 直接アクセスの急増を配信日と照らし合わせた
- 「直接アクセス」を知名度の指標として読んでいない
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