Looker Studioでレポートを1枚にまとめる
GA4、Search Console、広告の管理画面、売上の表計算ファイル。見る場所が分かれていると、確認するだけで時間がかかり、やがて誰も見なくなります。
この記事では、無料で使えるLooker Studio(旧Googleデータポータル)で1枚のレポートを作る手順と、載せる指標の選び方、続けるための決めごとをまとめます。画面の名前や機能は2026年9月時点のものです。
この記事でわかること
なぜ1枚にまとめるのか
数字を見る習慣が続かない理由の多くは、見るまでの手間にあります。GA4を開き、期間を選び、別のタブでSearch Consoleを開き、さらに売上の表を探す。この作業に毎回15分かかるなら、忙しい週から見なくなっていきます。1枚にまとめる理由は、次の3つです。
- 見る手間が減る:画面を切り替える回数が減れば、見る日が守られやすくなります
- 都合のよい数字を選びにくくなる:毎回同じ画面を見るため、良い数字だけを拾う余地が減ります
- 共有しやすい:判断する人に、同じ画面を見てもらえます
2つ目は見落とされがちですが、大事な点です。見る場所がばらばらだと、その月に良かった数字だけを拾って報告することが、意図せずとも起きます。毎回同じ5つの数字を同じ順で見ていれば、悪い月も悪いまま目に入ります(都合のよいデータだけ使わない)。1枚のレポートの目的は、見た目を整えることではありません。今の報告で開いている画面の数を数え、それを1枚に置き換えるところから始めてください。
載せる指標の選び方
載せたい数字はいくらでも出てきますが、5つ程度に絞ることをおすすめします。多いほど、見るのに時間がかかり、解釈も分かれます。中小企業のBtoBサイトなら、次の5つが出発点になります。
| 指標 | 見る理由 |
|---|---|
| 成果の件数 | 問い合わせや購入。いちばん売上に近い |
| 流入元ごとの成果 | どの経路に力を入れるかの判断に使う |
| 主要ページの閲覧数 | サービスページに人が来ているか |
| 検索での表示回数と順位 | 記事の育ち方を見る(Search Console) |
| 前の期間との比較 | 単独の数字では良し悪しが判断できないため |
選ぶときの基準は、「動いたら何を決めるか」を言えるかどうかです。たとえば「流入元ごとの成果」なら、広告経由が減ったら広告の設定を見直す、と言えます。一方、「平均滞在時間」は、動いても何を変えるかが決まらないことが多く、最初の5つには入れなくて構いません(見栄えのいい指標にだまされない)。
1枚の画面に置く順番の例を、仮の数字で示します。
| 段 | 置くもの(仮の数字) |
|---|---|
| 最上段 | 今月の問い合わせ 12件(前年同月 10件)、資料請求 8件(前年同月 9件) |
| 2段目 | 流入元別の問い合わせ:検索6件、広告4件、その他2件 |
| 3段目 | サービスページの閲覧数と、そこからの問い合わせ |
| 最下段 | 検索での表示回数・クリック数の上位10語 |
| メモ欄 | 今月の出来事:9月25日に広告予算を1割増 |
業種によって入れ替える項目もあります。通販なら「主要ページの閲覧数」の代わりに「売上と注文数」を、店舗への来店が成果なら「電話と道順の表示」を置くなど、成果に近い順に並べ替えてください。比較の表示は、前の期間か前年同期のどちらかを最初から入れます。数字を単独で置くと「多いのか少ないのか」が分かりません。候補を書き出して「決めること」の列を埋め、埋まらない指標は外してください。
作る手順
作る作業そのものは、慣れれば半日ほどで終わります。時間がかかるのは、データのつなぎ方と、期間の決め方で迷うところです。次の3段階で進めてください。
1. データをつなぐ
Looker StudioからGA4とSearch Consoleにつなぎます。どちらもGoogleのサービスなので、自分のアカウントにそれぞれの閲覧権限があれば、画面の案内に沿ってつなげます。売上や商談の数は、スプレッドシートの月ごとの表をつなぐ方法が手軽です。
スプレッドシートは、1行目に列名、2行目以降にデータ、という単純な形にしておきます。途中に空行や合計の行があると、Looker Studio側で正しく読めません。日付の列は「2026/09/01」のように日付として入力し、文字として入れないようにしてください(日付データの扱い方)。
2. 期間と比較を決める
「先月」「直近28日」など、レポート全体で使う期間を決めます。GA4とSearch Consoleでは、データが確定するまでの時間が違い、直近数日は数字が後から動きます。週次で見る場合は、数日前までを対象にすると安定します。
比較の期間は、表やスコアカードごとに「前の期間」「前年」を選べます。季節の上下が大きい事業なら前年、そうでなければ前の期間を基本にし、レポート全体で統一します。表ごとに比較の相手がばらばらだと、見る人が混乱します。
3. 上から順に置き、共有する
上に成果、その下に流入元ごとの内訳、さらに下にページや検索語の詳細。上ほど売上に近い数字という並びにすると、見る順番が固定されます。前の節の例なら、最上段に「今月の問い合わせ 12件(前年同月 10件)」、2段目に流入元別の表、3段目にサービスページの閲覧数、最下段に検索語の上位10語、という並びです。
できあがったら、判断する人に閲覧の権限を渡します。URLを共有するだけで見られるようにすれば、報告のための資料作りが不要になります。編集の権限は作った人と代理の1人に絞り、見る人が誤って表を動かさないようにしてください(Looker Studioの共有と権限)。
最初の版でよくある誤りは、見た目を整えることに時間を使いすぎることです。色やグラフの種類は、使いながら直せます。最初の版では、成果の件数と比較が正しく出ているかだけを確かめ、GA4の画面の数字と一致するかを1か所ずつ照らし合わせてください。最初の版は半日で作り切り、細部は使いながら直すほうが、結局は早く仕上がります。
続けるための決めごと
レポートは、作った直後が一番よく見られ、そこから少しずつ見られなくなります。続けるには、見る日と、見たあとにすることを決めておく必要があります。決めごとは次の3つです。
- 見る日を決める:毎週月曜の朝など、曜日まで決めます
- 指標を増やさない:追加したくなったら、代わりに1つ外します
- 数字が動いた理由を書く欄を作る:レポートにメモ欄を置き、施策や外部要因を書き残します
最後のメモ欄が、後から効果を確かめるときに効いてきます。「何をしたか」の記録がないと、数字の変化を説明できません。仮に3か月後に問い合わせが増えていても、その間に広告を増やしたのか、記事を公開したのか、展示会があったのかが分からなければ、何が効いたのかは永遠に分からないままです。
レポートそのものの見直しも、半年に1回は行います。見直しで確かめるのは、この半年で判断に使われなかった指標が無いか、比較の相手が今の事業に合っているか、メモ欄が埋まっているかの3点です。使われなかった指標は外し、事業の変化で新しく要る指標があれば、1つ外して1つ足す形で入れ替えます。
見る場も決めておくと続きます。たとえば月1回、30分の定例で、このレポートだけを画面に映して話す。資料を別に作らないことで、準備の手間がなくなり、定例そのものが続きやすくなります(月次レポートの組み立て方)。
よくある質問
表示が遅い、またはグラフが表示されないことがあります
よくある原因は、1枚へのグラフや表の詰め込みすぎ。数が多いほど、読み込みに時間がかかります。GA4につないだグラフが多いと、データの読み込みの上限に当たって一時的に表示されないこともあります。まずはグラフの数を減らし、同じ数字を2か所に置いていないかを確かめてください。表示の速さを保つ工夫はLooker Studioが重いときの対処でも扱っています。
GA4の画面の数字と、レポートの数字が少し違います
期間の設定、データが確定するまでの時間、集計の方法の違いで、数字が少しずれることがあります。まず両方の期間が同じか、直近数日を含んでいないかを確かめます。そのうえで数%程度のずれなら、どちらか一方を「正」と決めて、報告ではそちらだけを使うようにしてください。大きくずれる場合は、フィルタの設定や、比べている指標の定義が違っていないかを確かめます。
広告の管理画面の数字も入れたいのですが
Google広告は、Looker Studioから直接つなげます。ほかの広告媒体は、直接つなげない場合があり、管理画面から月ごとの費用と成果を書き出してスプレッドシートに貼り、それをつなぐ方法が手軽です(2026年9月時点)。有料の連携サービスもありますが、月に1回の更新で足りるなら、まずは手作業で始め、手間が負担になってから検討してください。広告の成果は、広告の管理画面とGA4で数え方の違いがあるので、どちらの数字を載せるかをメモ欄に書いておきます。
まとめ
レポートは、作ることより見続けられることが大切です。指標は5つまで、比較を必ず入れ、見る日を決める。この3つで、数字が判断に使われる状態になります。今週中に最初の版を作り、来週の決まった曜日から見始めてください。比べ方については「効果があった」と言う前に ― 比較対象の置き方をご覧ください。
確認リスト
- 成果の件数がいちばん上にある
- 指標は5つ程度に絞られている
- 前の期間との比較が表示されている
- 判断する人に共有されている
- 見る日が決まっている
- 施策や外部要因を書き残す欄がある
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