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似た記事が互いの順位を下げる

カニバリゼーション ― 自社の記事同士で競合する

記事を書き続けていると、似たテーマの記事が増えます。その結果、同じ検索語で自社の記事同士が競合する状態が起きます。どちらも中途半端な順位で止まり、1本にまとめていれば取れたはずの位置を逃します。この記事では、見つけ方と対処の選び方、予防の方法を説明します。

競合の見つけ方と対処の選び方は、実際の表示回数を見ながら考えると判断しやすくなります。この記事では、次の架空のサイトの記事を例に説明します。

この記事で使う事例(仮の数字)

  • 架空の会社のサイト(仮の数字)。記事A「MAツールとは?導入のポイント」と記事B「MAツールの基本と選び方」が、どちらも「MAツール」で表示されている
  • 直近28日間の「MAツール」での表示回数は、記事A 520回・記事B 480回。どちらも10〜20位で止まっている
  • 「MAツール 費用」では、記事C 950回・記事D 50回で、記事Cが上位で安定している

何が問題なのか

検索エンジンは、1つの検索語に対して同じサイトから多数のページを上位に出しません。似た記事が複数あると、どれを出すかの判断が分散し、評価も分かれます。その結果、実際には次のようなことが起きます。

  • 日によって表示される記事が入れ替わる
  • どちらも10〜20位あたりで止まる
  • 内部リンクや被リンクが2本に分散し、どちらも強くならない

ただし、似たテーマの記事があること自体は問題ではありません。問題なのは同じ検索語を狙っていることです。たとえば「GA4 とは」と「GA4 設定 手順」は同じGA4の話ですが、読者の状況が違うので競合しません。

起きているかどうかの目印は、表示される記事の入れ替わり。サーチコンソールで語を1つに絞り、日ごとにどのページが表示されたかを見ると、ある週は記事A、次の週は記事Bが表示されている、という動きが見えることがあります。検索エンジンがどちらを出すか決めかねている状態で、どちらの順位も安定しません。

当てはまらない場合もあります。同じ語で自社の2つのページが、どちらも1ページ目の上位に並んでいるなら、競合どころか検索結果の中で目立てている状態です。例えば、サービスの紹介ページと、そのサービスの使い方の記事が並んで上位にあるなら、無理にまとめる理由はありません。対処が要るのは、2本がそろって中途半端な順位で止まっている場合です。

見つけ方

確実な方法は、サーチコンソールで語から逆にページを見ることです。検索パフォーマンスでクエリを1つ選んで絞り込み、ページの一覧に切り替えると、同じ語で表示されている自社ページが並びます。ここに2つ以上のページが出ていれば、競合の候補です。手軽に当たりを付けるなら、検索エンジンで「site:自社ドメイン 検索語」と入力し、関連する自社ページを一覧で出す方法もあります。

主要な語が多いときは、1語ずつ見ていくと時間がかかります。その場合は、Looker Studioにサーチコンソールのデータをつなぎ、「クエリ」と「ページ」を並べた表を作ると、同じ語で複数のページが出ている組み合わせを一度に洗い出せます。表を語の順に並べ、同じ語の行が2つ以上あるものに印を付けるだけです。

点検の対象は、全部の語ではなく、成果につながる語に絞ります。サービス名や「〇〇 費用」「〇〇 比較」のような、問い合わせに近い語から順に見てください。表示回数の少ない語で起きている競合は、影響も小さいので後回しで構いません。

候補が見つかったら、表示回数の分かれ方で深刻さを判断します。事例の2つの語を並べると、次のようになります。

表示回数の分かれ方(仮の数字) 判断
「MAツール 費用」:記事C 950回・記事D 50回 片方に偏っている。競合は軽微
「MAツール」:記事A 520回・記事B 480回 両方に分散している。対処が必要

3つの対処と判断基準

対処は、統合する・すみ分ける・放置するの3つです。どれを選ぶかは、2本の記事の内容と読者が本当に同じかで決まります。判断を誤ると、別々に必要だった記事を1本にしてしまったり、同じ記事を2本残したりすることになります。

対処 選ぶ条件
統合する 内容がほぼ同じ。読者の状況も同じ
すみ分ける 本来は違う話だが、書き方が似てしまった
放置する 片方に表示が偏っている。影響が小さい

統合するとき

統合の手順は次のとおりです。

  1. 残す記事を決める(順位が高い、外部からのリンクが多い、成果が出ている、の順で優先する)
  2. 消す記事にしか無い見出しや具体例を、残す記事の該当する場所に書き足す
  3. 消す記事のアドレスから、残す記事へ転送を設定する
  4. サイト内の他の記事から消す記事へのリンクを、残す記事へのリンクに張り替える
  5. 統合した日を記録し、1か月後と3か月後に、残した記事の表示回数と順位を見る

順位の高いほうを残し、もう一方の内容で足りない部分を取り込みます。残さないほうは削除し、残したページへ転送設定(リダイレクト)をします。転送せずに消すと、これまでの評価とリンクを失い、リンクをたどってきた人も行き場をなくします。統合後は、1か月ほどしてから、残したページの順位と表示回数を確かめます。

すみ分けるとき

事例の記事Aと記事Bは、すみ分けで直します。直す前は「MAツールとは?導入のポイント」と「MAツールの基本と選び方」の2本が、どちらも「MAツール」で表示されていました。直した後は、記事Aを「MAツールとは ― 何が自動になり、何が人の仕事として残るか」、記事Bを「MAツールの選び方 ― 比べる前に決める3つのこと」とし、見出しもそれぞれの読者に合わせます。記事Aは知りたい人、記事Bは選びたい人に役割を分けた形です。

それぞれの記事で、狙う語と読者の状況を決め直します。片方を「知りたい人向け」、もう片方を「選びたい人向け」にするなど、意図で分けると重なりにくくなります(検索意図の読み方 ― 同じ語でも書く内容が変わる)。そのうえで、タイトルと見出しを狙う語に合わせて書き換えます。本文だけを変えても、検索エンジンの判断は変わりにくいからです。

放置するとき

片方の記事に表示回数の9割以上が集まり、その記事が上位で安定しているなら、放置して構いません。もう一方の記事は、検索では目立たなくても、別の語で読まれていたり、サイト内の案内で役に立っていたりすることがあります。手を入れて新しい問題を作るより、現状を保つほうが安全です。ただし、放置と決めた語も、半年に1回は表示回数の分かれ方を見直してください。

見直しで分かれ方が変わっていたら、放置の判断を改めます。事例の「MAツール 費用」でいえば、記事Cに950回、記事Dに50回だった分かれ方が、600回と400回に近づいてきたなら、統合かすみ分けを検討する時期です。放置と決めた語は、決めた日とその時の分かれ方を記録に残しておくと、次の見直しで変化に気づけます。

起こさないための予防

カニバリゼーションは、記事の本数が増えるほど起きやすくなります。書く人が増えたり、時間が経って過去の記事を忘れたりするからです。次の2つの習慣で防げます。

  1. 記事を書く前に、狙う語で site: 検索する … 既に扱っている記事があるか、30秒で確認できる
  2. 記事の一覧に「狙う語」を記録する … タイトルだけの一覧では重複に気づけない

記事の一覧に持たせる列の例は、「タイトル」「アドレス」「狙う語(1つ)」「読者の状況(知りたい・やりたい・選びたい)」「公開日」の5つです。狙う語は1記事に1つだけ書き、関連する語は別の列に書くか書かないかを決めておきます。書く人が複数いる場合は、企画を始める前にこの一覧を検索し、同じ語が無いかを確かめることを、書き始める条件にしてください。

外部の書き手に頼むときも同じです。依頼の文面に「狙う語」と「既にある関連記事の一覧」を入れておくと、既存の記事と重なる内容を書かれるのを防げます。依頼の前にこのひと手間をかけるほうが、後から統合するより手間はずっと小さく済みます。

2つ目は、記事数が50本を超えたあたりから効いてきます。タイトルは言い回しが違っても、狙う語が同じなら競合するからです。定期的な棚卸しで一覧を見直す方法はコンテンツ棚卸しのやり方 ― 記事を3つに仕分けるで扱っています。

まとめ

カニバリゼーションは、同じ検索語を狙った記事が複数あるときに起き、テーマが近いだけなら問題ありません。サーチコンソールでクエリを絞り込み、表示回数が2ページに分散していれば対処が必要です。統合・すみ分け・放置から、内容と読者の重なりに応じて選びます。記事ごとに狙う語を1つ決めて記録することが、最も確実な予防です。

確認リスト

  • 主要なクエリで、表示されているページが1つか確認した
  • 表示回数が分散している語を書き出した
  • 統合する場合、転送設定をした
  • すみ分ける場合、タイトルと見出しも変えた
  • 記事一覧に「狙う語」を記録している

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施策の効果測定と実験設計が専門。 世に出ている成功事例の多くは、比較対象が置かれていないか、社会的背景と施策が分離されていないにもかかわらず、なぜか過去の多数の失敗事...

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