記事構成の作り方 ― 読まれる順番
検索から記事に来た人が最初にすることは、読むことではありません。ここに答えがあるかどうかの確認です。この数秒で「違う」と判断されると、内容の質に関係なく離脱されます。構成は、この確認を通過させるところから組み立てます。
この記事でわかること
冒頭で示すべき3つ
書き出しに背景説明や業界動向を置くと、確認したい人は離脱します。「近年、DXの進展により…」のような一般論は、検索した人が探している話ではないからです。冒頭の役割は、読者に「この記事は自分向けで、答えがありそうだ」と判断してもらうことです。そのために、最初に置くのは次の3つです。
| 要素 | 役割 |
|---|---|
| 状況の言い換え | 読者が置かれている状況を1〜2文で書く。「この記事は自分向けだ」と分かる |
| 結論の方向 | 何が答えになるかを先に示す。詳細は本文に回してよい |
| この記事でわかること | 見出しへのリンク。必要な箇所だけ読めるようにする |
点検の方法は、冒頭だけの読み返し。冒頭の段落だけを読んで、「誰の」「どんな困りごとに」「どういう方向で答えるか」が言えるかを確かめます。言えなければ、一般論を削って状況の言い換えから書き直します。
書き直しの例を1つ。「GA4 問い合わせ 数え方」で検索した人に向けた記事の冒頭です。直す前は「近年、Webサイトの成果を数値で把握することの重要性が高まっています。GA4はGoogleが提供する無料のアクセス解析ツールで…」と始まっていたとします。読者はGA4が何かを知っているので、この2文は確認の役に立ちません。
直した後は、「GA4を入れたのに、問い合わせが何件あったか画面で分からない。その原因は、問い合わせ完了を成果として登録していないことです。この記事では、登録の手順と、正しく数えられているかの確かめ方を説明します」とします。1文目が状況、2文目が結論の方向、3文目がこの先に何があるかです。3文で「自分向けだ」「答えがありそうだ」と分かる形になっています。
冒頭の長さは、目次の前で3〜5文ほどが目安です。それより長くなるなら、本文で説明すべきことが冒頭に入り込んでいます。逆に1文だけだと状況の言い換えが抜けやすいので、少なくとも「状況」と「結論の方向」は別の文で書いてください。
本文の並べ方
本文の順番は、書き手の説明したい順ではなく、読者が判断する順に合わせます。書き手は背景から順に説明したくなりますが、読者は自分の判断に必要なものから知りたいからです。どの順が「判断する順」かは、記事の種類で変わります。
| 記事の種類 | 並べ方と理由 |
|---|---|
| 手順を説明する | 作業の順番どおり。「なぜそうするか」を途中に挟むと手が止まるので、理由は各手順の後ろに短く添える |
| 判断を助ける | 先に選択肢を並べ、それから比較軸を示す。逆にすると、何を比べているか分からないまま読むことになる |
| 用語を説明する | 定義から入らず、それを知ると何ができるかを先に書く。定義だけを求める人は検索結果の抜粋で用が足りる |
手順の記事を例に、並べ方を具体的に示します。テーマは「サイトに問い合わせの計測を入れる」。読者が判断したい順は、「何を準備するか」「どの順で設定するか」「できたかをどう確かめるか」「うまくいかないときどうするか」です。この順にh2を4つ置き、理由は各手順の最後に1〜2文で添えます。「そもそも計測とは何か」という説明は、知らない人向けの別記事へのリンクで済ませます。
記事の種類を決めるには、狙う検索語で実際に検索し、上位に並ぶ記事の形を見るのが確実です。上位が手順の記事ばかりなら、読者は手順を求めています。上位に比較表の記事と手順の記事が混ざっているなら、読者の求めるものが割れている状態です。この場合は、どちらか一方に決めて書き、もう一方は別の記事にするほうが、中途半端な1本より読まれます。検索語からの読み取り方は検索意図の読み方で詳しく説明しています。
よくある誤りは、手順の記事なのに冒頭で歴史や背景を長く語る、比較の記事なのに1つ目の選択肢を詳しく書きすぎて他が見えなくなる、というものです。どちらも、読者が判断に使う情報が後ろに追いやられています。書き終えたら、各h2の最初の段落だけを読み、その見出しで答えるべきことが先に出ているかを確かめてください。
見出しだけで意味が通るか
書き上げたら、見出しだけを抜き出して並べてみてください。それだけで記事の主張が伝わるなら、構成は通っています。見出しは、流し読みする読者にとっての目次であり、読み飛ばしてよいかを決める手がかりだからです。次のような見出しは、内容が分からないため書き直します。
- 「はじめに」「基礎知識」「まとめ」だけで構成されている
- 「ポイント1」「ポイント2」のように中身が入っていない
- 本文を読まないと何の話か分からない比喩になっている
点検は次の手順で行います。
- 見出し(h2とh3)だけを別のメモに書き出す
- 記事のタイトルを1行目に置き、その下に見出しを順に並べる
- 本文を見ずに読み、タイトルの問いに答えが出ているかを確かめる
- 答えが出ていなければ、足りない論点か、中身のない見出しを探す
ここで、見出しの直し方の例。「ポイント1:計測」は、「問い合わせ完了を成果として登録する」に直します。「注意点」は、「件数が少ないときは率で判断しない」のように、何に注意するのかを見出しに入れます。見出しが長くなっても、中身が分かるほうを優先してください。目安として、見出しだけを読んだ人が「この段落は自分には不要だ」と判断できれば十分です。
もう一つ確かめたいのは、見出しの下の分量です。見出しの下が1〜2文しかない箇所が続くなら、見出しを細かく切りすぎています。そうした項目は見出しにせず、1つ上の見出しの中で箇条書きや表にまとめます。
構成の型
迷ったときは、次の並びから始めてください。記事の種類を問わず使えます。本編の各見出しの下には、段落と具体(手順・判断の基準・例・表のどれか)を置き、読者がその見出しの範囲で判断できるところまで書きます。
- 状況 … 読者が困っている場面を1〜2文で
- 結論の方向 … 何をすれば解決するか
- この記事でわかること … 見出しへのリンク
- 本編 … 3〜4個の見出し。1見出し=1論点
- 注意点 … よくある誤りを本編の中に1つ
- まとめ … 結論の再掲とチェックリスト
型に当てはめた例を1つ。テーマは「問い合わせフォームのどこで離脱しているかを知る」。状況は「フォームを開いた数と送られた数しか分からない」、結論の方向は「3つの地点を数えて、減っている区間から直す」です。本編の見出しは「計測する3つの地点」「数字の読み方」「よくある原因と直し方」の3つで、注意点は「件数が少ないときは率だけで判断しない」を2つ目の見出しの中に入れます。
各見出しの下の分量は、「その見出しで読者が判断できるようになるまで」を基準にします。字数を先に決めると、足りない見出しは言い換えで埋め、多すぎる見出しは大事な例を削ることになりがちです。書き終えたら、各見出しの下に「手順」「基準」「例」「表」のどれかが1つ以上あるかを見てください。どれもない見出しは、説明だけで読者が手を動かせない状態です。
本編の見出しが6個以上になるときは、記事を分けることを検討してください。1記事に論点を詰め込むと、検索語との対応が弱くなるからです。自社の記事同士で同じ検索語を取り合う問題はカニバリゼーション ― 自社の記事同士で競合するで扱っています。
よくある質問
Q. 「はじめに」の見出しは置かないほうがよいのですか。
冒頭の文章に見出しは要りません。「はじめに」という見出しは中身を表さないうえに、目次の1行を使ってしまいます。冒頭の3〜5文は見出しなしで書き、その後に「この記事でわかること」を置けば十分です。
Q. 構成を作ってから書くと、書いている途中で順番を変えたくなります。変えてよいですか。
変えて構いません。書いてみて初めて、ある論点が別の論点の前提になっていると気づくことはよくあります。ただし、変えたら見出しだけの読み返しをもう一度行い、冒頭の「結論の方向」と本文の順がずれていないかを確かめてください。冒頭で約束した答えが記事の後半にしか出てこないなら、その答えを前に出します。
Q. 構成が良いかどうかは、公開後に数字で確かめられますか。
ある程度は確かめられます。GA4でそのページのエンゲージメント率や、記事の途中に置いたリンクのクリック数を、構成を直す前と後で同じ長さの期間で比べます。ただし検索順位や季節で来る人が変わると数字も動くので、構成だけの効果と言い切るのは難しいと考えてください。判断に使うなら、同じ時期に直さなかった記事の動きも並べて、差を見ます。直した記事だけが伸び、直さなかった記事が横ばいなら、構成の効果だった可能性が高まります。
まとめ
記事構成は、読者が最初にする「ここで合っているか」の確認を通すところから組み立てます。冒頭に一般論を置かず、本文は読者が判断する順に並べます。書き上げたら見出しだけを読み返し、意味が通るか、見出しの下に中身があるかを確かめます。迷ったら、書き手の説明順ではなく読者の判断順に戻ってください。
確認リスト
- 冒頭に一般論・業界動向を置いていない
- 結論の方向を先に示している
- 「この記事でわかること」を置いている
- 1つの見出しに1つの論点だけ入れている
- 見出しだけを並べて意味が通る
- 見出しの下が1〜2文だけの箇所がない
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