トピッククラスター ― 記事をまとめて強くする
具体的な語を狙った記事がたまってくると、次の段階に進めます。それらを束ねるまとめ役の記事を置き、個別記事と相互にリンクさせる方法です。これをトピッククラスターと呼びます。ただし、順番を誤ると中身のない目次ページができるだけなので、作る時期と組み立て方をあわせて押さえてください。
この記事でわかること
どのテーマを束ね、束ねた後に何が変わったかは、本数や表示回数を並べると判断しやすくなります。説明には、次の架空のサイトを1つだけ使います。
この記事で使う事例(架空のサイト・仮の数字)
- 中小企業向けにWeb活用の記事を公開しているサイト。公開済みの記事は約40本
- テーマ別の本数と直近3か月の検索の表示回数は、アクセス解析7本・12,000回、リード獲得5本・300回、採用広報2本・1,500回
- アクセス解析の7本を、まとめ役「アクセス解析の始め方」で束ねることにした
構成の形と役割分担
トピッククラスターは、役割の違う2種類の記事でできています。中心に置くまとめ役は、テーマの全体像を示し、各論は個別記事へ送ります。個別記事は、1つの疑問に詳しく答えます。この分担があいまいだと、2つの記事が同じ語で競い合い、どちらも評価されにくくなります。
| 役割 | 中身 | 狙う語 |
|---|---|---|
| まとめ役 | 全体像を示す。各論は個別記事へ送る | 広い語(例:「アクセス解析」) |
| 個別記事 | 1つの疑問に詳しく答える | 具体的な語(例:「直帰率 見方」) |
具体的な形を、事例のアクセス解析で描いてみます。まとめ役は「アクセス解析の始め方」。その下に、7本の個別記事がぶら下がります。うち5本を挙げると次のとおりです。
- GA4で最初に見るレポート(「どこから見ればいいか」に答える)
- 直帰率とエンゲージメント率の見方(「この数字は良いのか」に答える)
- 自社のアクセスを除外する設定(「数字が多すぎる気がする」に答える)
- 問い合わせを成果として数える設定(「成果をどう数えるか」に答える)
- 前月との比べ方(「増えた・減ったをどう判断するか」に答える)
まとめ役は、この5つの疑問がどんな順番で出てくるかを説明し、各所で個別記事に送ります。似たものにカテゴリーの一覧ページがありますが、一覧ページは記事を新しい順に並べるだけで、読む順番や記事同士の関係は説明しません。まとめ役は、人が書いた「読み方の案内」である点が違います。
リンクは双方向にします。まとめ役から各個別記事へ、各個別記事からまとめ役へ張ることで、1つのかたまりとして読まれ、検索エンジンにも扱われやすくなります。まとめ役は「地図」、個別記事は「目的地」という分担です。
当てはまらない場合:記事が少ないサイト
公開している記事が全部で10本程度のサイトでは、トピッククラスターを組むこと自体を急ぐ必要はありません。記事が少ないうちは、サイト全体が1つのテーマのかたまりになっていることが多く、トップページやサービスページがまとめ役の働きをしているからです。まとめ役を別に作っても、送り先の個別記事が足りません。
この段階でやるべきことは、個別記事を書きためることと、記事同士を内部リンクでつなぐことです。仮に、記事が20本を超え、その中で1つのテーマに5本以上が集まってきたら、そのとき初めてまとめ役を検討します。それまでは、サービスページから関連する記事へ、記事からサービスページへ、という往復のリンクを整えておけば十分です。
いつ作るか
まとめ役を先に作るのではなく、個別記事が5本以上たまってから作るほうが確実です。中身のない目次ページを作っても、送る先がないからです。また、実際に書いてみないと、そのテーマで何本書けるか、読者がどこに関心を持つかは分かりません。5本という数は厳密な基準ではなく、全体像を語れるだけの各論がそろったかどうかの目安です。
判断には、次の2点を確認してください。
- 同じテーマの個別記事が5本以上あり、それぞれが別の疑問に答えている
- そのうち少なくとも数本に、検索からの表示や流入が付き始めている
束ねる候補のテーマは、記事の一覧から機械的に探せます。手順は次のとおりです。
- 公開済みの記事を、タイトルと狙った語の一覧にする
- 各記事に、読者の関心で分けたテーマ名を1つ付ける(「アクセス解析」「リード獲得」など)
- テーマごとに本数と、直近3か月の検索での表示回数の合計を出す
- 5本以上あり、表示回数が付き始めているテーマを候補にする
当てはまらない場合もあります。本数は5本以上あっても、表示回数がほとんどゼロなら、そのテーマは検索で求められていないか、個別記事の狙いがずれている可能性があります。この場合は束ねるより先に、個別記事の見直しが必要です。また、同じ疑問に答える記事が2本以上あるなら、束ねる前に統合を検討してください。
事例のサイトで、候補の洗い出しを表にすると次のようになります。
| テーマ | 本数 | 直近3か月の表示回数 | 判断 |
|---|---|---|---|
| アクセス解析 | 7本 | 12,000回 | 束ねる |
| リード獲得 | 5本 | 300回 | 個別記事の狙いを見直す |
| 採用広報 | 2本 | 1,500回 | あと3本ほど書いてから |
事例で束ねるのは、本数も表示回数もそろった「アクセス解析」です。「リード獲得」は5本あっても表示回数が300回しかなく、先に個別記事の狙いを見直します。「採用広報」は表示回数こそ1,500回ありますが、2本では全体像を語れません。トピッククラスターは最初に描く設計図ではなく、書きためた記事を整理する方法です。個別記事の作り方はロングテールキーワードを狙う理由で扱っています。
組み立て方
組み立ては4つの手順で進めます。順番に意味があり、まとめ役を書く前にテーマの線引きを終え、書いた後にリンクを戻します。リンクを張る作業を最後にまとめるのは、途中で記事の分け方が変わることがよくあるためです。
- 既存記事をテーマで分ける … 記事一覧を見て、同じテーマに属するものをまとめます。5本未満のテーマは、まだ束ねません
- まとめ役を書く … テーマの全体像を書き、各論に入りそうになったら個別記事へのリンクに置き換えます
- 個別記事からリンクを戻す … 冒頭か末尾に「全体像はこちら」の形で、まとめ役へのリンクを置きます
- 個別記事同士をつなぐ … 読者が次に知りたくなる記事へ送ります。張り方は内部リンクの設計 ― 記事を孤立させないをご覧ください
手順1〜4は、次のような対応表を1枚作ってから始めると迷いません。まとめ役のどこから、どの記事に送るかを先に決めておく表です(事例の7本から3本を抜粋)。
| 個別記事 | 答える疑問 | まとめ役のどの項目から送るか | 戻りリンクの位置 |
|---|---|---|---|
| GA4で最初に見るレポート | どこから見ればいいか | 「まず見る数字」 | 冒頭 |
| 自社のアクセスを除外する設定 | 数字が多すぎる気がする | 「数字を正しくする準備」 | 末尾 |
| 前月との比べ方 | 増えた・減ったの判断 | 「毎月の確認」 | 末尾 |
表を作ると、まとめ役の見出しが自然に決まります。個別記事の答える疑問を、読者が出会う順に並べたものが、まとめ役の見出しの並びになるからです。どの項目にも入らない個別記事が出てきたら、そのテーマには属さない記事として外します。
まとめ役の見出しの例も挙げておきます。「アクセス解析の始め方」なら、「最初にそろえる設定」「まず見る数字」「毎月の確認」「数字が変わったときの調べ方」の4つ程度で足ります。各見出しの下には、その段階で読者が迷うことを2〜3段落で説明し、詳しい手順は個別記事に送ります。全体で個別記事1本分から2本分程度の長さに収まれば、読者は最後まで読んで、次に読む記事を選べます。
公開した後は、個別記事の側からの戻りリンクがすべて張られているかを確かめます。記事一覧の表に「まとめ役へのリンク済み」の列を足し、埋まっていない行をなくすだけの確認です。1本でも漏れると、その記事の読者はまとめ役に戻れず、かたまりから外れてしまいます。
手順2で最も起きやすい誤りは、まとめ役が詳しくなりすぎることです。まとめ役が各論まで書き込むと、個別記事と同じ語で競合します(カニバリゼーション ― 自社の記事同士で競合する)。目安として、まとめ役の各項目は数段落で止め、「詳しくは」でリンクに渡してください。
公開した後の見直し
クラスターを組んだ後も、まとめ役は半年に1回ほど見直します。個別記事が増えていれば、まとめ役に項目とリンクを足します。反対に、内容が古くなった個別記事があれば、まとめ役からのリンクを外すか、個別記事を直します。
見直しで見る数字は、まとめ役から個別記事への移動と、個別記事からまとめ役への移動です。仮に、まとめ役から特定の個別記事への移動だけが極端に少ないなら、その記事へのリンクの位置や文言が、読者の疑問と合っていない可能性があります。移動の数字は、リンクのクリックを計測するか、探索でページ間の流れを見て確かめます。見直しの日を半年ごとに決めておくと、放置を防げます。
うまくいかない作り方
トピッククラスターがうまくいかないとき、原因はたいてい構成の考え方ではなく作り方にあります。よくある失敗は次の4つで、どれも作った時点では気づきにくいものです。公開前と、個別記事を足すたびに、この表で確認してください。
| 失敗 | なぜ問題か | 直し方 |
|---|---|---|
| リンク集を作っただけ | タイトルの羅列では、そのページに読む価値がない | 全体像を説明する文章を書き、その流れの中でリンクする |
| まとめ役が長すぎる | 個別記事を読む理由がなくなり、語も競合する | 「どれを読めばよいか分かる」ところで止める |
| テーマが広すぎる | 「マーケティング」では何を書くか定まらない | 「アクセス解析」「BtoBのリード獲得」程度に絞る |
| 一度作って放置する | 新しい個別記事が束ねられず、実態とずれていく | 記事を足したら、まとめ役にもリンクを足す手順にする |
効果を確かめたいときは、クラスターに入れた記事と入れなかった記事を、同じ期間で比べます。事例で、まとめ役を公開した後の3か月に、アクセス解析の個別記事7本の表示回数が12,000回から15,600回へ30%増えたとします。同じ期間、クラスターに入れていない記事は10,000回から12,000回へ20%増えていました。入れていない記事も20%伸びている中で、クラスターの記事は30%伸びたので、上乗せの目安は10ポイント程度。
それでも、この10ポイントを構成の効果と言い切ることはできません。クラスターのテーマがたまたま季節で伸びる語だった可能性や、まとめ役を書いたときに個別記事の中身も直した可能性があるからです。変更した記事と日付を記録し、比べる相手と一緒に報告してください。
なお、クラスターを組んだ後に検索順位が上がったとしても、それが構成のおかげとは限りません。同じ時期に個別記事を足したり、季節で検索が増えたりしていれば、効果は分けられないからです。効果を見るときは、同じ時期に何を変えたかも記録してください。
よくある質問
既存の記事に、まとめ役に向いたものがあります。新しく書くべきですか
既存の記事を書き直してまとめ役にするほうが無難です。新しくまとめ役を書くと、既存の記事と同じ広い語で競合するおそれがあります。書き直すときは、各論にあたる部分を個別記事へのリンクに置き換え、全体像の説明を足します。URLを変えずに書き直せば、それまでの評価も引き継げます。
個別記事は、同じカテゴリーに入れる必要がありますか
必須ではありません。クラスターはリンクでつながった記事のまとまりで、カテゴリーの分け方とは別のものです。ただし、読者がカテゴリーの一覧からたどることもあるため、大半の個別記事が同じカテゴリーに入っていると分かりやすくなります。カテゴリーを変えるとURLが変わる設定のサイトでは、無理に動かさないでください。
1つの記事を、2つのクラスターに入れてもよいですか
入れても問題ありません。「前月との比べ方」の記事が、アクセス解析とレポート作成の両方のまとめ役から送られる、といった形は自然です。ただし、戻りリンクをどちらのまとめ役に向けるかは決めておきます。両方に戻すと、読者がどちらを先に読めばよいか迷うため、主に属するほうを1つ選んでください。
まとめ
トピッククラスターは、書きためた個別記事を束ねる方法です。個別記事が5本以上たまってから、全体像を示すまとめ役を書き、各論は個別記事へ送ります。リンクは双方向にし、記事を追加したらまとめ役も更新します。先に個別記事を書き、事例のアクセス解析のように手応えのあったテーマから束ねてください。
確認リスト
- 個別記事が5本以上あるテーマを見つけた
- まとめ役に、全体像を説明する文章がある
- 各論はリンクで個別記事に送っている
- 個別記事からまとめ役へのリンクを置いた
- 記事を追加したときの更新手順を決めた
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